パーソナル無線

パーソナル無線の概要

定義と背景

パーソナル無線は、900MHz帯の電波を利用した簡易無線の一種であり、特に無線電話としての利用が想定されました。日本でのパーソナル無線の制度は1982年に確立され、特にモータリゼーションの進展に伴う車載無線電話システムへのニーズに応える形で誕生しました。パーソナル無線は、無線局免許の取得が容易で、主に娯楽や日常業務で使用されることが一般的でした。

技術的条件

その当時、パーソナル無線は最大5Wの出力を持ち、多チャンネルでの通信が可能でした。最初は80チャンネルの構成でしたが、1986年には158チャンネルに増加しました。無線機は周波数変調（FM）を利用しており、音声通信において比較的明瞭性が高く、雑音の少ない交信が特徴でした。無線機には呼出名称を記憶させるためのROMカートリッジを装着する必要があり、これがないと送信ができませんでした。ROMカートリッジは、無線機に一度装着されると取り外せない構造となっており、不正な改竄を防ぎました。通常、申請者が免許を受ける際、電波振興会がこれを代行していましたが、2010年以降は利用者自身が免許取得後にカートリッジに情報を書き込む必要がありました。

利用条件と免許

パーソナル無線は簡易無線の一環として、自家用車や趣味としての利用を目的に使用されました。ただし、通信には各種制限が設けられ、特定の事業用途には利用できませんでした。また、外国籍の者でも特定の条件を満たせば利用することが可能で、多様な利用者層が存在しました。免許には有効期限があり、一般的には供与日から特定の年数の後に無効になる仕組みでした。具体的には、平成23年以降は5年の有効期限に設定されていました。

歴史と消滅

パーソナル無線は1980年代から90年代にかけて普及し、特に多くの無線局が開設されました。しかし、1990年代に入ると無線機の需要が減少し始めるとともに、携帯電話の普及が進んだことで影響を受けました。2000年代には使われる頻度が減少し、次第に開設申請も行われなくなりました。2012年には周波数帯の変更があり、2015年には正式に周波数の割当てが廃止、2018年には制度自体が終了しました。そして2021年には全ての無線局が消滅したことが確認され、その後はパーソナル無線機器も指定無線設備から除外されました。

最後に

パーソナル無線は、日本の無線通信の歴史において重要な位置を占めていましたが、技術の進化とともに新しい通信手段へと変わっていくこととなりました。このようにして、パーソナル無線は過去のものとなったのです。

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