パーターラ

パーターラ

インド神話において###パーターラ（サンスクリット語: pātāla）###は、###世界を構成する七つの下層領域の総称###、あるいは###その最下層の名前###として言及される、###地底世界###です。プラーナ文献で語られる世界の区分において、###地上世界の下に広がる領域###として位置づけられています。

この七つの下界の具体的な名称や順序は、参照する文献によって異なります。たとえば、『###ヴィシュヌ・プラーナ###』では、第一層から順に###アタラ、ヴィタラ、ニタラ、ガバスティマット、マハータラ、スタラ、そして最下層のパーターラ###と列挙されます。一方、『###パドマ・プラーナ###』では、第一層アタラ、第二層ヴィタラに続き、###スタラ、ガバスティマット、マハータラ、ラターサラ、そして第七層パーターラ###という構成になっています。このように、文献によって層の名称や順序には違いが見られます。

『パドマ・プラーナ』では、さらに各層の支配者について詳細に述べられています。第一層アタラは###マハーマーヤ###、第二層ヴィタラは###ハータケーシュヴァラ###（シヴァ神の化身）が治めます。第三層スタラは、アスラ王###マハーバリ###がヴィシュヌ神から与えられた領域です。第四層ガバスティマットは###マーヤ###の支配下、第五層マハータラには様々な###蛇###が住まうとされます。第六層ラターサラは###ダイティヤやダーナヴァ###たちの領域です。そして最下層である第七層パーターラは、###ナーガ王ヴァースキ###が統治しており、このため第七層は「###ナーガローカ###」とも呼ばれます。

パーターラは、神々や人間が住む###三界とは異なる冥界###ですが、一般的にイメージされる###「地獄」とは性質が異なります###。特に第三層のスタラは、アスラ王マハーバリの領地であり、彼はヴィシュヌによって特別に与えられました。『###バーガヴァタ・プラーナ###』では、スタラは###苦痛や病気、困難が一切存在しない楽園###として描かれています。これは、パーターラ全体が必ずしも苦しみの場所ではないことを示唆しています。

また、パーターラは地上の存在とも無縁ではありませんでした。神々の王インドラに仕える忠実な従者###マータリ###は、自身の娘に最適な婿を探すため、神々や様々な世界の候補を求めた後、###この地底世界であるパーターラを訪れました###。そこで彼は、###ナーガ族の若者スムカ###と出会い、その優れた資質を見抜いて娘の婿に選びました。このエピソードは、パーターラが地上の神々にとってさえ交流の対象となり得る世界であり、そこに住まう存在が高い評価を受けることもあったことを物語っています。

このように、パーターラは単一の暗い世界ではなく、###多様な層がそれぞれの支配者や住人、そして独自の性質を持つ、インド神話における複雑な地下世界###です。一般的な「地獄」とは一線を画し、神話の中で独自の役割を担う存在として描かれています。

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