パーディタ (競走馬)

パーディタIIは、19世紀末のイギリス競馬界を彩った名牝です。その名は、ラテン語で「喪失」や「破滅」を意味する言葉に由来しており、皮肉にも彼女自身はイギリス競馬の歴史に輝かしい足跡を残しました。

2歳から5歳まで競走馬として活躍したパーディタIIは、当初はレース後に競売にかけられるセリングレースに出走していました。しかし、その卓越した能力はすぐに周囲の注目を集め、数々の勝利を収めます。チェスターフィールドナーセリーステークス、エアゴールドカップ、リバプールカップ、そしてチェーシャーハンデキャップを2度制覇するなど、輝かしい戦績を残しました。

1888年、パーディタIIは900ポンドという高額でアルバート・エドワード（後のエドワード7世）に買い上げられ、王立牧場へと迎え入れられます。競走馬としてのキャリアを終え、今度は繁殖牝馬として新たなステージへ進みました。

繁殖牝馬としてのパーディタIIもまた、並外れた才能を発揮しました。1899年に亡くなるまでに12頭の産駒を産み落とし、その多くが優れた競走馬、あるいは種牡馬として成功を収めました。特にセントサイモンとの間に生まれた産駒は有名で、その中でも特に4番仔のフロリゼルはグッドウッドカップを制覇し、種牡馬としても大成しました。

さらに、6番仔のパーシモンは二冠馬としてだけでなく、優れた種牡馬としても名を馳せました。そして、10番仔のダイヤモンドジュビリーは三冠馬という偉業を達成。9番仔のサンドリンガムはアメリカで種牡馬として成功を収めました。これらの名馬を生み出したパーディタIIの血統は、イギリス競馬、ひいては世界競馬に計り知れないほど大きな影響を与えたと言えるでしょう。

パーディタIIの産駒たちは、総計7万5000ギニー以上の賞金を獲得しました。これは、彼女の繁殖牝馬としての成功、そしてその子孫たちの活躍がいかに大きかったかを物語っています。セリングレースから王室の牧場へと至る、ドラマチックな人生を歩んだパーディタII。彼女は、まさにイギリス競馬史における伝説的な存在と言えるでしょう。彼女の血統は現代の競馬にも受け継がれ、その名と功績はこれからも語り継がれていくことでしょう。

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