パーピュア

パーピュア (Purpure): 紋章学における紫色

パーピュア（英: 古英: 古仏: purpure）は、紫色の一種であり、特に紋章学において用いられる言葉です。紋章の彩色において重要な役割を果たすティンクチャー（色彩）の一つで、「原色 (colours) 」に分類されます。ここでは、パーピュアの語源、紋章における意味、表現方法、歴史的背景について解説します。

語源

「パーピュア」という言葉は、ラテン語の「purpura」に由来します。「purpura」は、紫色の染料の材料となる甲殻類、およびその染料で染められた衣類を意味していました。この言葉が9世紀以前に古英語に取り入れられ、変化を経て、現代英語の「purple」（紫）となりました。貝紫もこの語源を共有しています。

紋章におけるパーピュア

パーピュアは、紋章に用いられる紫色を表すティンクチャーです。色味としては、一般的なパープル（紫）に近いとされています。紋章学におけるティンクチャーとは、紋様の要素である原色、金属色、毛皮模様の総称です。

パーピュアの表現方法

古典的な白黒印刷や彫刻など、色を表現できない場合、パーピュアは特定の方法で表現されます。ペトラ・サンクタの方法 (System of Petra Sancta) では、紋章を見る側から向かって右上から左下の向きに、斜め45度の平行線を引いてパーピュアを表します。また、「purp.」のような省略形で示されることもあります。

パーピュアが象徴するもの

パーピュアは、以下のようなものを象徴するとされています。

アメジスト（宝石）
水星（天体）：水星は、伝統的な錬金術や神秘学において、水の元素や水銀と関連付けられています。

歴史

パーピュアは、紋章が使われ始めた初期から存在するティンクチャーの一つです。例えば、10世紀から13世紀に存在したレオン王国の紋章には、紫色のライオンが描かれていました。初期のパーピュアは、現在知られているものよりも灰色がかった色合いだったようです。

原色のティンクチャーの中では、パーピュアは他の4色（赤、青、緑、黒）ほど一般的ではありませんでした。そのため、パーピュアを5つの共通色に数えるべきかどうかについて、議論がなされたこともあります。また、紋章記述の中で「インペリアル・パーピュア」として記録された例も存在します。

まとめ

パーピュアは、紋章学において紫色を表す重要なティンクチャーであり、その語源、表現方法、歴史的背景は興味深いものです。紋章のデザインや解釈において、パーピュアが持つ意味を理解することは、紋章学への理解を深める上で役立つでしょう。

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