パーマストン子爵

パーマストン子爵について

パーマストン子爵（Viscount Palmerston）は、アイルランド貴族に属するかつての爵位であり、主にテンプル家によって保持されていました。この家系は11世紀のマーシア伯爵レオフリックにまで遡ることができ、イングランド中部レスターシャーに広がる領地を持っていました。しかし、薔薇戦争により一度は名声を失います。

テンプル家の再興は16世紀に現れたサー・ウィリアム・テンプルによるもので、彼は軍人、政治家、文人として活躍しました。その息子のサー・ジョン・テンプルはピューリタン革命で議会側に参戦しましたが、後に王政側に転向し、王政復古の際には枢密顧問官に任命され、アイルランドの領地を獲得しました。

そして、彼の息子であるサー・ウィリアムは近代随筆の先駆者としての名声を持ち、また外交官としてフランスのルイ14世に対抗した実績があります。特に、オランダのウィリアム3世とヨーク公女メアリーの結婚を助けたことで、名誉革命の契機を築いたことでも知られています。さらに、彼の弟はアイルランド議会の下院議長を務めるなど、政治的な影響力を持ちました。

1723年3月12日、テンプル家の一員ヘンリーが「カウンティ・オブ・ダブリンにおけるパーマストン子爵」と「カウンティ・オブ・スライゴにおけるマウント・テンプルのテンプル男爵」に叙され、これが現在知られるパーマストン子爵位の創始となります。この爵位は1757年6月10日に初代パーマストン子爵の孫に引き継がれ、1802年に第2代子爵が亡くなると彼の長男が第3代子爵となりました。

特に第3代子爵は、19世紀の前半から中期にかけてイギリスの首相や外務大臣として著名でした。しかし、彼には嫡出子がいなかったため、1865年10月18日の彼の死によってパーマストン子爵位は消滅します。

2代子爵の代ではアイルランドの所領からの収入が約7000ポンドで、中小規模の貴族としての位置づけでした。初代子爵はハンプシャーのロムジーにも邸宅と広大な土地を購入し、それは後にヘンリー・ホランドによって華麗なゴシック様式の邸宅に改築され、多くの注目を集めました。

パーマストン子爵位とその従属爵位であるマウント・テンプルのテンプル男爵位はともにアイルランド貴族として位置づけられ、イギリスの貴族院議席は持ちませんでした。しかし、これにより歴代子爵は庶民院選挙に立候補できる特権を有していました。

系図

パーマストン子爵位の系譜を辿ると、テンプル家の長い歴史とそれが果たした役割が明らかになります。特に、彼らが政治や外交において果たした影響力や、名門として築いた財産は、アイルランド貴族の中でも特異な存在感を示していました。

注釈

このように、パーマストン子爵位は卓越した歴史と共に、多くの波乱の歴史に生きてきたわけです。その姿は、時代の変遷の中で貴族制度の意義や役割が変わっていく過程を映し出しています。

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