パーヴェル・アレクサンドロヴィチ

パーヴェル・アレクサンドロヴィチは1860年10月3日、ロシア帝国の皇族として生まれました。彼はエカテリーナ2世の後裔であるアレクサンドル2世の第6子であり、皇后マリア・アレクサンドロヴナの子として、ロシアの貴族社会に育ちました。その生涯の中で彼は騎兵大将となり、優れた軍人としての業績を残しましたが、彼の評価はそれ以上に、穏やかな性格と深い信仰心で知られています。

1889年、パーヴェルはギリシャ王ゲオルギオス1世の娘、アレクサンドラ・ゲオルギエヴナと結婚しました。この結婚から1男1女が誕生しましたが、妻アレクサンドラはドミトリー大公を出産後に亡くなりました。彼の人生はその後、1893年に平民女性オリガ・カルノヴィチとの恋愛によって大きく変わります。当時、オリガは既婚者であり、二人は結婚の道を探りましたが、ロシア皇帝ニコライ2世からは贵賤結婚として認められず、2人はパリに逃れ、1902年にイタリアで結婚式を挙げました。

その後、パーヴェルとオリガの間にも子供が生まれましたが、彼のロシアの身分はボリシェヴィキ政権によって脅かされることになります。結婚によって全財産を失いながらも、パーヴェル夫妻はフランスで生活し、3人の子供を持つ家庭を築きました。1915年には、ニコライ2世からオリガとその子供たちにパーリィ公の称号が与えられ、ロマノフ家との関係も改善されました。

第一次世界大戦では近衛グロデンスク連隊長として功績を上げ、皇帝からの評価も高まりますが、ロシア革命が彼の運命を大きく変えることとなります。革命によって王政が崩壊し、彼の一家は資産を没収され、厳しい監視下に置かれました。1918年には、パーヴェルの次男ウラジーミルが虐殺され、その後パーヴェル自身も逮捕されました。

1919年1月29日、パーヴェルはペトロパヴロフスク要塞に移送され、翌日に他のロマノフ家の人々と共に命を落としました。その結果、彼の遺体は未だに行方不明であり、埋葬式も行われなかったため、密やかな悲劇を抱えたまま歴史に名を刻むこととなります。

子女

パーヴェルは最初の妻との間にマリアとドミトリーをもうけました。マリアは後にスウェーデン王族と結婚し、ドミトリーはラスプーチンの暗殺に関与したことで知られています。2度目の妻オリガとの間にはウラジーミル、イリナ、ナタリアが生まれ、現在でも彼らの家系は続いています。特に、ナタリアはフランスで成功したファッションモデルであり、イリナはロマノフ家の又従兄と結婚しました。彼の家族の運命もまた、ロシアの歴史と運命に左右されるものでした。

このように、パーヴェル・アレクサンドロヴィチの人生は、戦争や革命、家族の藩屏といった多くの要素が交錯する中で、波乱万丈のものであったことが伺えます。彼の遺産は今もなお、多くの人々にとっての歴史的興味の対象となっています。

もう一度検索