埋葬式

埋葬式（まいそうしき）について

埋葬式は、日本正教会において信徒が永眠した際に執り行われる葬儀の正式な呼び名です。この儀式は、正教会の信徒が亡くなった夜に行われる通夜「パニヒダ」が終わった後、翌日に行われます。この式典では、永眠者が神からの罪の赦しを受け、天国に迎え入れられることを祈り、また永遠の復活の生命を与えられるように願います。また、他のキリスト教教派でも「埋葬式」と呼ばれることがあります。

構成と流れ

埋葬式は、連祷と無伴奏の聖歌で構成されています。ただし、一般的に誦経の部分は省略され、信徒のためのものとして行われるため、未信徒のためには基本的に行われません。未信徒が永眠した際は、異教徒向けのパニヒダで代用することもあります。パニヒダと埋葬式に参列することは、信徒・未信徒を問わず教会で奨励されています。

埋葬式の冒頭では、輔祭（または司祭）が朗誦する連祷部分において、永眠者の罪の赦しや天国に入ることの許し、復活の生命の獲得が祈願されます。この際、永眠者の名前は聖名が用いられ、一般的な姓名は呼ばれません。日本正教会を含めた多くの教会では、埋葬式の祈祷文が省略されており、全ての祈祷を行う場合、パニヒダ同様に2〜3時間を要します。そのため、実際の埋葬式は時間としては1時間弱程度に短縮されることがほとんどです。

特別な埋葬式

信徒一般の埋葬式とは異なり、永眠者が幼い場合には「嬰児埋葬式」、司祭であれば「司祭埋葬式」、主教であれば「主教埋葬式」が行われます。これらの式には祈祷文の変更はあるものの、基本的な祈祷構成はほぼ同様です。埋葬式は主に聖堂で行われることが望まれていますが、事情により自宅や葬祭場で実施されることもあります。

「永遠の記憶」とその重要性

埋葬式の最後には「永遠の記憶」という聖歌が唱えられ、永眠者に神からの永遠の記憶が与えられるように祈願します。これは永遠の安息を意味し、埋葬式とパニヒダの重要な要素とされています。

作法と習慣

日本正教会の埋葬式には、各地の教会によって多少の異なる習慣が存在し、それに基づいて行われます。日本では、正教会での死亡を「永眠」と表現し、一般的な「亡くなった」という言葉は使われません。また、香典は「お花料」という表記が使われ、逝去の際には香炉を用いることはありません。

参列者は埋葬式の間、立ち続けることが求められ、特に聖堂では「復活の生命に与って立つ」という象徴的な意味があります。参列者が献花を行う際には、棺の前で十字を描き、許可されている場合は額に巻かれたイコンに接吻し、再度十字を描いてお辞儀をします。この際、未信徒には信徒と同様の行動が求められないこともあります。

出棺時の儀式

埋葬は主に土葬ですが、日本では火葬が一般的です。出棺の際には、霊柩車に向かう途中に聖歌隊が「聖三祝文」を歌いながら導きます。埋葬後、火葬が行われると、新たにパニヒダが実施されることもあります。

教会には埋葬式専用の旋律で鐘を鳴らす伝統もあり、特に東京復活大聖堂などでは特別な鐘の音を響かせることがあります。

埋葬式は正教会の信者にとって非常に重要な行事であり、信仰の一環として大切に受け継がれています。

もう一度検索