ヒイロ・ユイ

『新機動戦記ガンダムW』の主人公の一人であるヒイロ・ユイは、そのコードネームの由来となった伝説の指導者とは別に、物語の中心人物として描かれています。声優は緑川光が担当しました。

人物像

ヒイロは15歳の日系人少年で、L1コロニー出身です。身長156cm、体重45kgと小柄ながら、その身体能力は常人の域をはるかに超えています。プルシアンブルーの瞳と、ダークブラウンまたはモスグリーンの髪が特徴です。

幼少期から工作員としての英才教育を受けて育ち、フェンシングや乗馬をたしなむ他、156cmの身長でダンクシュートを片手で決める、高層ビルから飛び降りても軽傷で済む、銃弾を避け、鉄格子や鉄骨を素手で破壊するなど、驚異的な身体能力を持ちます。また、スーパーコンピュータでも計測不能なほどの反応速度を誇り、精神を崩壊させる危険性のある「ゼロシステム」を使いこなす強靭な精神力も持ち合わせています。

モビルスーツの操縦技術も非常に高く、様々なMSを乗りこなし、リーオー搭乗時には、性能で圧倒的に優位なアルトロンガンダムと互角以上に戦うほどです。服装は任務に応じて変化しますが、基本的にはタンクトップとハーフパンツという質素なスタイルです。後に『Endless Waltz』ではジーンズとジャケット姿も披露します。

「ヒイロ・ユイ」というコードネームは、コロニーの自治独立を提唱し、志半ばで倒れた指導者ヒイロ・ユイに由来します。

クールで無口な性格ですが、動揺したり感情的な行動を見せることもあります。物語が進むにつれて、本来持っていた優しさや思いやりが垣間見えるようになります。任務遂行のためには、かつての恩人や味方ですら殺そうとしますが、実際に彼が「殺す」と断言した人物は、結果的に誰も死んでいません。彼の行動は、正義感といったものよりも感情的な衝動によるものとされています。

ヒイロの名前の由来は、コナン・ドイルの小説『緋色の研究』から、韻は「アムロ・レイ」を踏んでいます。ユイは「唯」から。また、監督の池田成は、ヒイロのキャラクターのモチーフを「矢吹ジョーの演技の上手い内田有紀」と述べています。

劇中での活躍

新機動戦記ガンダムW

幼少期にアディン・ロウという男に拾われ、ゲリラ活動の中で生きる術を教え込まれました。アディンが死んだ後、「感情のままに生きる」という教えがヒイロの行動原理となります。その後、ドクターJにスカウトされ、ガンダムパイロットとなります。ノベルズ版では、3歳で両親を失った後、ドクターJに拾われ工作員として教育を受けたという設定です。

AC195年、オペレーション・メテオが発動され、ウイングガンダムに乗り地球に降下します。降下直前、ドクターJから、指導者「ヒイロ・ユイ」の名をコードネームとして与えられます。

大気圏突入中にOZの攻撃を受け、ウイングガンダムは海に水没。ヒイロは脱出し、海岸でリリーナ・ドーリアンと出会います。リリーナに顔を見られたため、ヒイロは自決を試みますが失敗。その後、リリーナを抹殺するために聖ガブリエル学園に編入します。

学園でリリーナに「お前を殺す」と宣言し、同時に海に沈んだウイングガンダムを破壊しようとしますが、デュオ・マックスウェルに阻止されます。その後、幾度となくリリーナを殺そうとしますが、最終的には守るようになります。

任務の失敗を自ら判断し、自決を図ろうとするもリリーナの叫びによって思い留まります。その後、OZの偽情報によってコロニーとの和平推進派であるノベンタ元帥のシャトルを撃墜してしまいます。

シベリアでの作戦では、ゼクス・マーキスとの再戦でコロニーを人質に取られ、自爆してしまいますが、一命を取り留めます。

サーカス団で療養後、ノベンタ元帥の遺族に謝罪の旅に出ます。南極では、ゼクスとの決闘中にリリーナが介入し、その場を後にします。

その後、宇宙に上がりデュオの名前を使い学生に偽装し潜伏。OZに捕まったデュオを救出します。

科学者抹殺のため、月面基地に潜入しトロワに捕まり、メリクリウスのテストパイロットになります。その後、ゼクスと戦い、カトルと対峙しますが、カトルの暴走を止めるためトロワが犠牲になります。

カトルと共に再び地球に降り、OZ主流派に反対するトレーズ派に傭兵として加わり、コードネーム「レッド・ワン」として戦います。その後、リリーナが統治者となったサンクキングダムに身を寄せます。

サンクキングダムの理念に疑問を持ちながらも、リリーナの依頼を受け、無防備なサンクキングダムの盾となることを決意します。しかし、なおも戦いを求め、危険な戦場へ赴き、トレーズからガンダムエピオンを託されます。

ロームフェラ財団の侵攻によってサンクキングダムは崩壊。エピオンのゼロシステムでリリーナが蒸発するビジョンを見て暴走しますが、ウイングゼロで到着したゼクスとの戦いの後、機体を交換しサンクキングダムを後にします。

その後、ロームフェラ財団の代表に就任したリリーナの暗殺を試みるも、彼女の理想が本物であると知り、期待を寄せます。その後、ヘビーアームズを発見したサリィと共に宇宙へ上がり、他のガンダムパイロット達と合流、ゼクス率いるホワイトファングと戦います。

リーブラに軟禁されたリリーナを救出するため単身潜入し、ゼクスとの最終決戦に挑みます。ヒイロとゼクスの戦闘は世界中に中継され、戦争の虚しさを人々に伝えます。

最終的に、リーブラの破片を狙撃し地球を救い、エピローグでは、リリーナの誕生日にクマのぬいぐるみとメッセージカードを残すというロマンティックな一面も見せます。

新機動戦記ガンダムW Endless Waltz

過去の記憶が明らかになり、かつてコロニーで出会った少女と子犬の死を経験したことがトラウマとなっている事が判明します。

マリーメイア軍に拉致されたリリーナを救出するため、コロニーに潜入。その後、アルトロンガンダムに乗る五飛と戦い、戦いを続けることの意味を問います。最後は、大統領府を破壊しようとしますが、子犬を連れた少女を思い出し、破壊を中止し、マリーメイアを撃ち、リリーナの腕の中で眠ります。

新機動戦記ガンダムW Frozen Teardrop

『Endless Waltz』から数十年の間、冷凍睡眠に入っていたが、ある任務のために目覚めます。その後、リリーナにプロポーズの手紙を渡し、結婚します。

搭乗機

主に以下の機体に搭乗しました。

ウイングガンダム
ウイングガンダムゼロ
ガンダムヘビーアームズ
メリクリウス
ガンダムエピオン
リーオー

評価

「みんなで選ぶロボットアニメーションベスト100」では、「一番カッコイイヒーローは？」で第8位にランクインしました。

ヒイロ・ユイは、その卓越した戦闘能力とクールな佇まい、そして内に秘めた優しさで、多くのファンを魅了するキャラクターです。

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