ヒエラポリス-パムッカレ

パムッカレ：自然が創り出した白い絶景

パムッカレは、トルコ南西部に位置する、世界的に有名な景勝地です。トルコ語で「綿の宮殿」を意味するこの場所は、その名の通り、純白の石灰棚が階段状に連なる、息をのむような美しさで人々を魅了します。

パムッカレの生成

この独特な景観は、自然の営みによって長い年月をかけて形成されました。二酸化炭素を含んだ弱酸性の雨水が、石灰岩でできた台地に浸透し、炭酸カルシウムを溶かし込みます。地熱で温められた地下水は温泉となって地表に湧き出し、その過程で炭酸カルシウムが沈殿します。この沈殿が繰り返されることで、純白の石灰棚が徐々に形成されていきました。棚田の畦のように見える部分は、植物片などが石灰分を吸着して堤のように成長したものです。温水が畦を越えて流れ出す際に、石灰分の沈殿が加速するという化学的な現象も、この景観の形成に寄与しています。このようなメカニズムで、高さ約200メートルにも及ぶ石灰華段丘が造り上げられました。

ヒエラポリス遺跡

パムッカレの石灰華段丘の頂上には、古代都市ヒエラポリスの遺跡が広がっています。この都市は、ローマ帝国時代に温泉保養地として栄えました。ローマ劇場やローマ浴場など、当時の面影を今に伝える遺跡が残されています。ヒエラポリスは、地震による破壊と復興を繰り返しましたが、1354年の大地震で完全に廃墟となりました。現在、その遺跡は、パムッカレの自然美と合わせて、歴史と自然の両方を体感できる場所として、多くの観光客が訪れています。

世界遺産としての価値

パムッカレとヒエラポリス遺跡は、その文化的・自然的な価値が認められ、ユネスコの世界遺産に登録されています。登録基準は以下の通りです。

(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。：ヒエラポリス遺跡は、古代ローマ帝国の温泉文化を今に伝える貴重な証拠です。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。：ヒエラポリス遺跡は、ローマ帝国の建築技術や都市計画を理解するための重要な場所です。
(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。：パムッカレの独特な景観は、自然が作り出した芸術作品であり、その美しさは他に類を見ません。

まとめ

パムッカレは、自然の驚異的な力と、古代文明の歴史が交錯する、非常に魅力的な場所です。その美しさと歴史的価値から、世界中から観光客が訪れます。パムッカレを訪れることで、自然の雄大さと人間の歴史の深さを同時に感じることができるでしょう。

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