ヒゼンダニ

ヒゼンダニについて

ヒゼンダニ（皮癬壁蝨、学名: Sarcoptes scabie）は、無気門亜目に属する小さなダニで、通常の大きさは0.2から0.4ミリメートル程度です。その体形は卵型で、色は半透明の褐色を呈し、表皮には細かい横じわがあります。特にメスはオスよりも大きい特徴があります。ヒゼンダニは特に宿主の皮膚を侵食する能力があり、第1、2、4脚には吸盤があり、これを使って皮膚を穿孔することが可能です。

生態

ヒゼンダニのライフサイクルは、卵、幼虫、初若虫、次若虫を経て成虫へと成長します。卵は産卵後3から4日で孵化し、成長には約10から14日を要します。幼虫や若虫は宿主の皮膚表面や毛包内で過ごし、成虫になるとメスは宿主の皮膚内に侵入し、そこでトンネルを掘りながら産卵を続けます。メスの寿命は約2ヶ月で、その間に約50もの卵を産むことができます。ヒゼンダニは全世界に分布しており、自然界や住居、さらには人間や多くの動物の皮膚下や毛包に生息しています。

ヒゼンダニは宿主特異性が高く、たとえば人間にはヒトヒゼンダニ（Sarcoptes scabie var. hominis）、犬にはイヌセンコウヒゼンダニ（Sarcoptes scabie var. canis）が寄生しますが、他の動物と接触することで別種に感染することもあります。

人間との関わり

ヒゼンダニのメスがトンネルを掘る際に、宿主に対して疥癬を感染させます。これにより皮膚がわずかに隆起し、膿疱や線上疹が形成され、強い痒みを引き起こします。重篤な場合、免疫系に影響を及ぼし、全身衰弱を招くこともあります。また、動物が感染した場合は、かゆみを伴う患部を掻きむしることによって脱毛が進行し、さらに黄色ブドウ球菌などの二次感染が起こることもあります。これらの感染が重篤化すれば、動物にとって死因になることもあります。

主要な変種

以下は、ヒゼンダニの主要な変種のいくつかです：

• - ヒトヒゼンダニ (Sarcoptes scabie var. hominis)
• - イヌセンコウヒゼンダニ (Sarcoptes scabie var. canis)
• - ブタセンコウヒゼンダニ (Sarcoptes scabie var. suis)
• - ウサギショウセンコウヒゼンダニ (Sarcoptes scabie var. cuniculi)
• - ミミヒゼンダニ (Otodectes cynotis)

関連項目

ヒゼンダニとは異なり、キュウセンダニ科（Psoroptidae）に属するダニは、表皮に侵入せず、同様に疥癬を引き起こすことが知られています。ヒゼンダニは、皮膚病や感染症が発生する原因となることから、注意が必要です。

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