ヒットパンチショー

ヒットパンチショー

1978年の夏、具体的には7月7日から9月29日まで、フジテレビ系列のチャンネルで放送されていた音楽番組が『ヒットパンチショー』です。フジテレビ自身が制作を手がけたこの番組は、全13回という比較的短い期間ではありましたが、当時の歌謡界を彩るゲストを迎え、金曜日の正午という時間帯に放送されました。新聞のテレビ・ラジオ欄では、司会者の名前を冠して『井上順ヒットパンチ』と表記されるケースもあり、番組の顔が誰であったかを明確に示していました。

放送時間は毎週金曜日の正午から午後0時30分までの30分間でした。これは当時フジテレビが設けていた日替わりのバラエティ枠『12時開演!』の一部として位置づけられており、この枠の金曜日を担当していました。

番組の根幹をなすコンセプトは、毎回迎えられるゲスト歌手との丁寧な対話を通じて、普段テレビなどでは見せないようなその人物本来の姿、つまり素顔を視聴者に紹介することにありました。ゲストは基本的に毎回一人でしたが、回によっては複数名が登場することもありました。

具体的な番組進行としては、司会者とのトークが中心に据えられ、ゲストはその中で自身のパーソナルな部分や仕事に対する考えなどを語りました。また、ゲストによっては得意としているものまねを披露するなどのエンターテイメント要素も盛り込まれました。さらに、番組を観覧している観客、主に主婦層からのリクエストに応じる形で、ゲスト歌手が持ち歌などを歌唱する場面も設けられていました。このように、歌唱とトーク、そして観客との双方向性を意識した構成となっていました。

番組の司会を務めたのは、当時すでに同じフジテレビの看板歌謡番組『夜のヒットスタジオ』にもレギュラー出演するなど、テレビ界で司会者として確固たる地位を築いていた井上順氏でした。彼の軽妙かつ親しみやすい語り口が、ゲストの素顔を引き出す上で重要な役割を果たしました。

『ヒットパンチショー』の放送形式は、前番組にあたる『電リク!スター歌謡曲』とは異なる点が特徴です。『電リク!スター歌謡曲』が公会堂など外部の会場からの公開放送を行っていたのに対し、『ヒットパンチショー』はフジテレビのスタジオに観客を招いて行うスタジオ公開放送でした。また、近年のバラエティ番組に多く見られるようなゲームコーナーなどは一切なく、純粋にゲストの歌とトークを中心に構成された、比較的オーソドックスなスタイルの歌謡番組でした。

番組に関連する情報としては、当時の産経新聞に番組に関する記述が見られます。また、司会の井上順氏が出演していたという意味でも、同時期に放送されていた『夜のヒットスタジオ』はこの番組を語る上で外せない関連番組と言えるでしょう。

残念ながら番組は短命に終わり、全13回で終了しましたが、1978年夏の昼下がりに、視聴者に歌とゲストの素顔を届けた番組として記憶されています。

もう一度検索