ヒトデ

ヒトデ（海星）とは

ヒトデは、棘皮動物門ヒトデ綱に属する生物の総称です。その特徴的な星形の体は、多くの人々にとって馴染み深いものでしょう。世界中の海に約2000種、日本近海だけでも約300種が生息しており、潮間帯から深海、熱帯から極地まで、幅広い環境に適応しています。

名称の由来

和名の「ヒトデ（人手）」は、5本の腕を持つ姿が人の手に似ていることに由来します。また、「海星」という名は、その形が星に似ていることに由来します。英語では「starfish」や「sea star」と呼ばれ、多くの言語で星にちなんだ名前が付けられています。

形態

ヒトデの体は、中央の盤とそこから放射状に伸びる腕から構成されています。多くの種は5本の腕を持ちますが、例外も存在します。体は五放射相称で、口は体の下側に位置し、この面を口側、反対側を反口側と呼びます。口側には、口から腕の先端に向けて歩帯溝と呼ばれる溝が伸び、無数の管足が並んでいます。

骨格と表皮

ヒトデの体は、表皮の下にある小さな骨片が隙間なく並んだ内骨格に覆われています。骨片は炭酸カルシウムでできており、スポンジ状の構造をしています。これらの骨片は、自由に硬さを変えられるキャッチ結合組織で繋がっており、体を柔軟に動かすことができます。反口側の表皮には、ガス交換を行う皮鰓や、棘などが存在します。

水管系

水管系は、ヒトデ特有の構造で、移動や呼吸、摂食など、多様な役割を担います。盤の中央にある環状水管から各腕に放射水管が伸びており、内部は体液で満たされています。放射水管からは側管が伸び、その先端に管足が付いています。管足は、水圧を制御することで伸縮し、歩行や餌の捕獲に利用されます。

消化器系

ヒトデの消化器官は短く、口から短い食道を通って胃に繋がります。胃は噴門胃と幽門胃に分かれており、一部の種では噴門胃を体外に出して口外摂食を行います。胃の周囲には消化液を分泌する幽門盲嚢があり、栄養分を一時的に溜め込む働きもあります。

神経系

ヒトデは脳を持ちませんが、体中に分布する感覚細胞で刺激を受け取り、神経で伝達します。環状神経から各腕に放射神経が伸びており、腕の先端には光を感知する眼点があります。また、体表全体に分布する感覚細胞で匂いを感知し、餌を探します。

生殖器系

多くのヒトデは雌雄異体で、腕の付け根に生殖巣を持ちます。精子や卵子は海中に放出され、受精が行われます。

クモヒトデとの違い

クモヒトデは、ヒトデと似た棘皮動物ですが、盤と腕の境界が明確で、腕が細く長いのが特徴です。移動には腕を使い、管足はあまり利用しません。また、肛門がなく、排泄は口から行います。

生態

ヒトデの寿命は種によって異なり、数年から数十年生きます。食性は様々で、肉食性の種が多いですが、腐肉食や藻類を食べる種もいます。移動は管足を用いて行い、非常にゆっくりと移動します。

生殖

ヒトデは有性生殖を行う種が多いですが、無性生殖を行う種も存在します。有性生殖では、放卵放精により受精が行われ、幼生はプランクトンとして浮遊生活を送ります。一部の種では、親が幼生を保育します。

再生と分裂

ヒトデは、高い再生能力を持つことで知られています。腕を失っても再生するだけでなく、盤が残っていれば体全体を再生することも可能です。一部の種では、分裂によって無性繁殖を行います。

分類

ヒトデ綱は、ウデボソヒトデ目、マヒトデ目、モミジガイ目など、複数の目に分類されます。

人間との関わり

ヒトデは、水族館でよく見られる生物であり、その星形の姿は多くの人に親しまれています。しかし、漁業被害を引き起こすこともあり、オニヒトデによるサンゴの食害などが問題となっています。一方で、学術研究の対象としても重要であり、発生学やクローン研究に利用されています。

ヒトデは、その多様な生態と驚くべき能力を持つ、魅力的な生物です。この記事を通して、ヒトデに対する理解が深まれば幸いです。

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