ヒバカリ属

ヒバカリ属（Hebius）は、爬虫類の中でも有鱗目に分類されるヘビの一群であり、ナミヘビ科に属しています。この属は、日本に生息するヒバカリ（Hebius vibakari）を模式種としています。

形態

ヒバカリ属に分類されるヘビたちは、いくつかの特徴的な形態を持っています。特に、背中側の体鱗には明瞭な隆起、いわゆる「キール」が存在します。体色については、背面には濃い色の斑点が並ぶことが多く、さらに多くの種において、体の長軸に沿って二本の縦縞模様が見られます。これらの模様は、種を見分ける上での重要な手がかりとなります。

分類

かつて、ヒバカリ属はAmphiesma属の中に含まれており、その模式種はAmphiesma stolatusとされていました。しかし、分類学的な研究は常に進化しており、近年の分子生物学的手法を用いた解析によって、この認識は大きく変わりました。

2014年に行われた詳細な分子系統解析では、旧Amphiesma属に属していた18種を対象に、核DNAのRAG1遺伝子を含む三つの遺伝子座と、ミトコンドリアDNAのシトクロムb領域の配列情報が用いられました。この解析の結果、旧Amphiesma属は遺伝的に大きく三つの明確な系統グループ（clade A、clade B、clade C）に分かれることが明らかになりました。さらに重要な点は、かつての模式種であったAmphiesma stolatusがclade Aを形成し、旧Amphiesma属の他の多くの種（主にclade Bとclade Cを形成していた種）とは遺伝的に遠縁であることが示されたことです。

この分子系統解析の結果を受けて、分類体系の見直しが提唱されました。具体的には、日本産のヒバカリ（Hebius vibakari）を新たな模式種として、独立した属であるHebius属が復活しました。そして、旧Amphiesma属からclade Cに属する39種がHebius属に、clade Bに属する3種がHerpetoreas属に、そしてclade Aを形成するAmphiesma stolatusのみが引き続きAmphiesma属として、合計で旧Amphiesma属の多くの種がこれらの三つの属へと分割・再配置されました。この再分類により、より遺伝的な類縁関係を反映した分類体系が構築されたのです。

現在認識されているヒバカリ属の分類や学名は、主にReptile Database（2024年版）などの信頼できるデータベースに基づいています。日本に分布する種については、日本爬虫両棲類学会（2024年版）による和名が用いられるほか、様々な文献が参照されています。

ヒバカリ属には、アンドレアヒバァ、ミヤコヒバァ、ヤエヤマヒバァ、ガラスヒバァ、そして模式種であるヒバカリなど、アジアを中心に多様な種が含まれています。これらの種は、それぞれの分布域で固有の生態を持っています。

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