シトクロムb

シトクロムb（cytochrome b）

概要

シトクロムb（CYB）は、呼吸鎖複合体IIIの重要なサブユニットです。この複合体は生物のエネルギー代謝において欠かせない要素であり、ヘムbを含むヘムタンパク質として機能します。

機能

シトクロムbは、真核生物のミトコンドリアや好気性原核生物に見られ、呼吸鎖複合体IIIの一部としてキノールを酸化し、シトクロムcを還元します。この過程で、プロトンを膜を越えて輸送し、ATP合成のためのプロトン勾配を形成します。この反応は細胞内でのエネルギー供給において非常に重要な役割を果たしています。

構造

シトクロムbは、およそ400アミノ酸から構成されており、8回膜を貫通する構造を持っています。さらに、2つのヘムb（b562とb566）が補欠的分子戸として結合しています。この特異な構造がシトクロムbの機能を支える要素となっています。

系統解析

シトクロムb遺伝子は真核生物のミトコンドリアDNAに位置しており、その配列は異なる生物間での系統解析に利用されます。特に、種や属内の系統関係を理解するための有用な情報源となっており、進化学や生物多様性の研究に貢献しています。

医学的意義

シトクロムb遺伝子に変異が起こると、運動不耐や深刻な疾患が引き起こされることがあります。特に、抗マラリア薬であるアトバコンがこの複合体IIIを標的とした治療薬であり、マラリア原虫のシトクロムb遺伝子に異常が生じることでアトバコンに対する耐性が発生することがあります。

参考文献

シトクロムbに関する研究は多岐にわたり、最新の発見や進展が続いています。この分野の研究成果は、医学や生物学のさまざまな領域において重要な知識を提供しています。

外部リンク

• -Cytochromes b - MeSH
• -アメリカ国立医学図書館・生命科学用語シソーラス（英語）

このように、シトクロムbは生物のエネルギー代謝において重要な役割を果たし、またその特徴から医療の分野においても注目されています。

もう一度検索