ヒメウミツバメ

ヒメウミツバメ（姫海燕）

ヒメウミツバメ（学名：Hydrobates pelagicus）は、ミズナギドリ目ウミツバメ科に分類される海鳥の一種であり、本種一種のみでヒメウミツバメ属を構成しています。

形態

ヒメウミツバメは、比較的小さなウミツバメであり、その体長は約15～18cm程度です。翼を広げた際の幅（翼開長）は約36～45cmになります。全体的に黒っぽい羽毛に覆われていますが、翼上面には淡い色の帯が見られることがあります。尾は比較的短く、わずかに分かれているのが特徴です。くちばしと足は黒色をしています。

他のウミツバメ類と比較して、ヒメウミツバメは体格が小さいことが特徴の一つです。また、飛翔時には、他のウミツバメ類よりも羽ばたきの速度が速く、より直線的に飛ぶ傾向があります。

生態

ヒメウミツバメは、海洋性の鳥であり、繁殖期以外はほとんど陸に上がることはありません。外洋を好み、海面近くを飛びながら、小さな魚類、甲殻類、プランクトンなどを捕食します。餌を捕る際には、海面をかすめるように飛んだり、水面に足を付けて水面を叩きながら採餌したりします。

繁殖期は、主に北大西洋の島嶼部や沿岸地域でコロニーを形成して繁殖します。岩の割れ目や地面に掘った巣穴に、通常1個の卵を産みます。抱卵期間は約38～42日であり、雌雄交代で抱卵します。雛は孵化後約50～70日で巣立ちます。繁殖地では、夜間に活動することが多く、天敵から身を守るために、日中は巣穴に隠れていることが多いです。

分布

ヒメウミツバメは、主に北大西洋に分布しています。繁殖地は、イギリス、アイルランド、フランス、スペイン、アイスランド、ノルウェーなどの沿岸地域や島嶼部に集中しています。繁殖期以外は、北大西洋を広く回遊し、アフリカ大陸沿岸や南アメリカ大陸沿岸でも観察されることがあります。

日本近海では、迷鳥として記録されることがあります。

画像

アシナガウミツバメ'>

上：ヒメウミツバメ、下：アシナガウミツバメ

出典

BirdLife International. 2018. Hydrobates pelagicus. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2021-3.
del Hoyo, J., Collar, N.J., Christie, D.A., Elliott, A., Fishpool, L.D.C., Boesman, P. and Kirwan, G.M. 2016. HBW and BirdLife International Illustrated Checklist of the Birds of the World. Volume 1: Non-passerines. Lynx Edicions in association with BirdLife International, Barcelona, Spain.

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