ヒメクロウミツバメ

ヒメクロウミツバメとは

ヒメクロウミツバメ（Hydrobates monorhis）は、ミズナギドリ目に属するウミツバメ科の小型の鳥です。この鳥は、北インド洋や東太平洋に広く分布しており、日本では夏季にいくつかの島で繁殖を行います。

分布

ヒメクロウミツバメは、特に中華人民共和国の東部、ロシアの南東部、そして朝鮮半島の周辺地域で繁殖します。冬になると、インド洋や紅海に移動し、越冬します。日本では、沖ノ島、沓島、八丈小島、三貫島、日出島、隠岐諸島など、さまざまな島で繁殖するために飛来する夏鳥として知られています。

形態

この鳥の成長はおおよそ17〜20cmで、翼の長さは14〜16.5cm、翼を開いた時の幅は35〜40cm程度になります。体重は約30gから40gとかなり軽量です。名前の「ヒメ」は、より大型のクロウミツバメと比較して体が小さいことに由来しています。また、尾羽には浅い切れ込みがあり、全体的には黒褐色の羽毛に覆われています。飛翔時には淡褐色の羽毛が翼に不明瞭な帯模様を形成し、美しい飛び方を見せます。

分類

もともとはウミツバメ属（Oceanodroma）に分類されていましたが、最近の研究によってオーストンウミツバメ属（Hydrobates）に改めて分類されています。

生態

海洋環境に生息しており、動物食性です。食べ物には主に魚類や甲殻類が含まれ、海上で巧みに捕食を行います。繁殖時期には、岩の割れ目やオオミズナギドリの古巣、地面に巣穴を掘って、落ち葉や枯草を利用して巣を作ります。日本では5月から6月にかけて、交互に卵を抱く方式で、1回の繁殖シーズンに1個の卵を産卵します。抱卵期間は約41日間です。

人間との関係

日本国内ではヒメクロウミツバメの生息数が減少しています。原因としては、ネズミによる捕食や、カラスやカモメなどの他の鳥による捕食、またオオミズナギドリとの競争、さらには繁殖地への人間の干渉が挙げられます。1935年には、三貫島が「三貫島オオミズナギドリおよびヒメクロウミツバメ繁殖地」として国の天然記念物に指定されています。また、1984年には沖ノ島および沓島の生息個体数が約1,000羽と推定されています。

絶滅の危機

この鳥類は、環境省のレッドリストにおいて絶滅危惧II類（VU）に指定されています。これにより、今後の保護活動と生息地の維持が求められています。ヒメクロウミツバメは、私たちの自然環境を守る上でも重要な存在であり、その生態系の一部として貴重な役割を果たしているのです。

もう一度検索