ヒューゴ・アルヴェーン

ヒューゴ・アルヴェーン

ヒューゴ・アルヴェーン（Hugo Emil Alfvén, 1872年5月1日 - 1960年5月8日）は、スウェーデン・ストックホルム出身の作曲家、指揮者、ヴァイオリニスト、そして画家としても才能を発揮した多才な人物です。同時代の作曲家ヴィルヘルム・ステーンハンマルと並び、スウェーデンを代表する作曲家の一人として広く知られています。

生涯

1887年から1891年までストックホルム音楽院で学び、並行してヨハン・リンデグレンから個人指導を受けました。指揮者としてはヨーロッパ各地を巡演し、その才能を発揮しました。また、スウェーデン王室の宮廷楽団であるHovkapelletでヴァイオリン奏者として活躍し、1910年から1939年までウプサラ大学の音楽監督を務めました。さらに、同大学の男声合唱団Orphei Drängarを1947年まで指揮し、その発展に大きく貢献しました。

私生活では、デンマークの画家ペーダー・セヴェリン・クロイヤーの妻であり、自身も画家であったマリー・クロイヤーとの関係が知られています。クロイヤーとの離婚後、1912年にマリーと結婚しましたが、1936年に離婚しました。結婚時、マリーはMarie Triepcke Krøyer Alfvénと名乗りました。

作風と主要作品

アルヴェーンの作風は、後期ロマン派の伝統的な語法に根ざしており、色彩豊かな管弦楽法や、標題的な傾向が特徴です。彼の音楽は、スウェーデンの風景を想起させるような、民族的な要素も持ち合わせています。多岐にわたるジャンルに挑戦したステーンハンマルとは対照的に、アルヴェーンは管弦楽作品に特に力を注ぎました。

代表的な作品としては、数多くの男声合唱曲、5つの交響曲、そして3つの「スウェーデン狂詩曲」が挙げられます。特に、第1番「夏至の徹夜祭」は、その軽快な旋律が多くの人々に親しまれています。また、舞台音楽（劇付随音楽やバレエ音楽）も数多く作曲しました。

その他、劇付随音楽「グスタフ2世アドルフ」の「エレジー」はスウェーデン王族の葬送音楽として、また「祝典序曲」はノーベル賞授賞式で演奏されるなど、重要な場面で用いられることもあります。

作品一覧

交響曲

アルヴェーンの5つの交響曲は、作曲家の音楽的な進歩を辿ることができます。特に第1番から第4番までは、複数の録音が存在します。

交響曲第1番 ヘ短調 作品7 (1897年)：初期の作品で、標準的な4楽章構成を持ち、美しい響きが特徴です。卒業制作とも評されています。
交響曲第2番 ニ長調 作品11 (1898年-1899年)：力強い「コラール前奏曲とフーガ」で締めくくられます。
交響曲第3番 ホ長調 作品23 (1905年)：イタリア旅行から着想を得た作品で、より軽快な作風です。
交響曲第4番 ハ短調 作品39『海辺の岩礁から』(1918年-1919年)：ニールセンの交響曲第3番に触発され、ヴォカリーズを用いた単一楽章の作品で、交響詩「岩礁の伝説」と関連性がありますが独立した作品です。
交響曲第5番 イ短調 作品54 (1942年 - 1953年)：アルヴェーンの最後の作品の一つで、全曲演奏される機会は少なく、第1楽章のみが演奏されることが多いです。

管弦楽曲

スウェーデン狂詩曲第1番「夏至の徹夜祭」 作品19
交響詩『岩礁の伝説』作品20
スウェーデン狂詩曲第2番「ウプサラ狂詩曲」 作品24
祝典序曲 作品25
ドラーパ 作品27
バレエ音楽「山の王」 作品37
悲曲「エミール・シェーグレンへの葬送曲」 作品38
ヤルマール・ブランティングの葬送行進曲 作品42
スウェーデン狂詩曲第3番「ダラーナ狂詩曲」 作品47
劇付随音楽「グスタフ2世アドルフ」作品49
組曲「ソールバッケンのシュノーヴィ」作品50
祝祭序曲 作品52
田舎の物語 作品53
バレエ音楽「放蕩息子」

室内楽曲

ヴァイオリンソナタ ハ短調 作品1
ロマンス ホ長調 作品3 （ヴァイオリンとピアノ）
ノットゥルノエレジアーコ 作品5 （ホルンとオルガン）
フルート独奏のための小組曲
組曲「岩礁の絵」作品17

合唱曲

カンタータ「世紀の変わり目に」作品12
主の祈り 作品15
カンタータ「一つの民族」作品22
カンタータ「1917年ウプサラ宗教改革祭」作品23
黄泉の国の人々 作品30の1
春の夜 作品30の2
黙示録カンタータ 作品31
ウプサラ大学450年記念カンタータ 作品45
ストックホルム博覧会カンタータ
交響的カンタータ「歌」作品45
3つの合唱曲
木

独唱曲

* フローレスとブランセフロール 作品3

アルヴェーンの音楽は、スウェーデンの豊かな自然や文化を反映し、聴く人の心を魅了し続けています。

もう一度検索