ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社（HMT）について

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社（HMT）は、世界で唯一、キャピラリー電気泳動-質量分析計（CE-MS）を用いたメタボローム受託解析サービスを提供する日本のバイオベンチャー企業です。慶應義塾大学先端生命科学研究所の冨田勝所長と曽我朋義教授によって設立され、慶應義塾大学初の出資ベンチャーとしても知られています。

HMTの概要

HMTは、CE-MS技術を核としたメタボローム解析を主な事業として展開しています。メタボロームとは、生体内の代謝物質全体を指し、その網羅的な解析は、病気の診断や治療法の開発に不可欠です。HMTのCE-MS技術は、従来の質量分析法に比べ、イオン性の代謝物質を一度に多種類、かつ短時間で測定できる点が強みです。

2013年12月には東証マザーズに上場し、その技術力と事業展開が広く認められました。また、HMTは、うつ病の診断に役立つバイオマーカーの発見にも成功しており、試薬メーカーとの連携を通じて、診断キットの実用化を目指しています。

HMTの沿革

CE-MS技術の開発と設立

2002年、創業者の一人である曽我朋義教授が、メタボロームを迅速に一斉測定するCE-MS法を開発しました。従来のGC-MS法やLC-MS法では分析が困難であった代謝物質も、CE-MS法では一度に千種類以上、約30分で測定できます。この革新的な技術を社会実装するため、2003年7月にHMTが設立されました。

設立から事業拡大

設立当初から、ミツカングループ本社、味の素株式会社、三菱ウェルファーマ株式会社など、大手企業との共同研究を積極的に進めました。2005年には、本社を山形県鶴岡市に移転し、米アジレント・テクノロジー社との提携を通じて、メタボロミクスソリューションの共同開発を開始しました。

技術革新と社会貢献

2000年代後半には、大腸菌オーム解析や微生物の飢餓応答メカニズムの解明など、科学誌に論文が掲載されるなど、研究成果を社会に還元しました。また、メタボローム技術への関心を高めるため、無料測定キャンペーンも実施しています。

2010年以降は、うつ病の血液マーカー開発や高脂血症マーカーの発見など、医療分野での貢献も加速させました。2011年には、腋臭のタイプに影響する成分の発見、2012年には腸内細菌が産生する物質の解明に成功しています。

海外展開と上場

2012年には、米国マサチューセッツ州に米国法人を設立し、グローバル展開を開始しました。2013年には、東証マザーズへの上場を果たし、企業としての信頼性を高めました。

近年の展開

2015年には、特許登録した血液バイオマーカーを用いたうつ病検査の委託契約を締結し、臨床応用を始めました。また、2016年には、HMTバイオメディカル株式会社を設立し、事業領域の拡大を図っています。資本業務提携により、株式会社エムスリーとの連携も強化しています。

HMTの事業内容

バイオマーカー事業

バイオマーカーの探索受託から特許化、ライセンス、そして診断分野への応用までを総合的に展開しています。

メタボローム解析事業

顧客から提供された試料中の代謝物質を分析し、詳細なレポートを作成する受託解析サービスを提供しています。

メタボロミクスキット事業

アジレント・テクノロジー製のCE-MS装置を購入した顧客向けに、インハウスでのメタボロミクス解析を支援しています。

関連会社

Human Metabolome Technologies America, Inc. （米国ボストン市）
HMTバイオメディカル株式会社（神奈川県横浜市）

HMTは、独自のメタボローム解析技術を通じて、医療分野をはじめとした幅広い分野で革新的な貢献を目指しています。その技術力と研究開発への情熱は、今後のバイオテクノロジー業界を牽引する原動力となるでしょう。

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