ヒョウモンドジョウ

ヒョウモンドジョウ（豹紋泥鰌）

ヒョウモンドジョウ（Misgurnus sp. OK）は、沖縄特有の小型ドジョウ科の魚です。2010年に沖縄島で初めて発見され、2017年にその標準和名が提唱されました。この魚は遺伝的多様性が低いことが知られており、今後の研究が待たれます。

分布

ヒョウモンドジョウは、沖縄島や八重山諸島の石垣島、与那国島の湿地に生息していますが、生息地は主に池や水路、水田、河川の泥が溜まった浅い場所です。しかしながら、その正確な分布域については不明な点が多いです。また、台湾にも生息している可能性があると言われています。

形態

この魚のサイズは全長8〜12cmで、ドジョウに非常に似た形状をしています。体型は短く、太めであり、体高も大きい特徴があります。口ひげは他のドジョウと比べてやや長めで、体表には眼径以上の大きな暗色斑点が見られます。また、雄の胸鰭には斧のような形状の大きな骨質板が存在し、頭部から鰓蓋にかけては緑がかった金属光沢を持っています。顔はやや丸みを帯び、全体的に太短い体形をしています。

分類

ミトコンドリアDNAの塩基配列を基にした系統推定によると、ヒョウモンドジョウは中国大陸のドジョウ系統や日本在来系統、さらにアムールホソドジョウと近縁であることが示されています。

生態

ヒョウモンドジョウは、飼育下では約1年で成熟し、5年以上の寿命が確認されています。繁殖は初夏に行われ、増水した湿地や水田に移動して卵を産みます。沖縄島の野生環境では、2月に産卵行動が確認されています。

利用

与那国島ではヒョウモンドジョウは食用として利用されていたとの情報がありますが、現在の利用状況は不明です。

地方名

ヒョウモンドジョウには、地域によって異なる呼称があります。例えば、石垣島では「ドンゲー」や「ドンジー」と呼ばれ、沖縄島では「ドンヂョウ」や「ジュジュウ」と呼ばれています。

保全状況

都市開発や河川改修の影響により、ヒョウモンドジョウの生息環境は非常に悪化していると考えられています。そのため、沖縄県では絶滅危惧ⅠA類に指定されています。また、2020年には沖縄県指定の希少野生動物に認定され、無許可の採集が禁止されることになりました。石垣島では、この種の採集例は10年以上なく、沖縄島でも屋我地島に中国や九州地方系のドジョウが定着しており、近隣の生息地への影響が懸念されています。現在、環境省のレッドリストでは情報不足（DD）とされています。

ヒョウモンドジョウは独特な生態系を持つ魅力的な魚ではありますが、同時にその保護や研究が急務であることを示しています。

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