ヒルデスハイムの聖マリア大聖堂と聖ミカエル聖堂

ヒルデスハイムの聖マリア大聖堂と聖ミカエル聖堂

ドイツのニーダーザクセン州に位置するヒルデスハイムには、初期ロマネスク様式の傑作である聖マリア大聖堂と聖ミカエル聖堂が佇んでいます。これらはユネスコの世界遺産に登録されており、その歴史的、文化的価値は非常に高いものです。

聖マリア大聖堂

1010年から1020年にかけて建設された聖マリア大聖堂は、オットー朝ロマネスク様式の典型的な特徴を備えています。対称形の構造と二つの後陣が印象的です。11世紀から14世紀にかけて拡張されましたが、1945年の空襲で甚大な被害を受けました。戦後、1950年から1960年にかけて再建されましたが、かつての優美な内装は失われてしまいました。

しかし、大聖堂は数多くの貴重な収蔵品で知られています。特に11世紀から12世紀頃の工芸品は、ヨーロッパ随一のコレクションとして評価されています。金銀製品や宝飾品は、当時の聖マリア大聖堂が北ドイツにおける重要な宗教施設であったことを物語っています。

主な収蔵品としては、以下のようなものがあります。

青銅製の扉: 旧約聖書とキリストの物語がレリーフで表現されています（1015年頃）。
キリストの柱: キリストの生涯を表す浮彫が施された青銅製の柱で、勝利者としてのキリストを示しています（1020年頃）。
巨大円環燭台: 11世紀に制作されたものです。
聖ゴーデハルトの石棺
聖エピファニウスのシュライン（聖遺物容器）

大聖堂の中庭には、1321年に建造されたゴシック様式のアンネのチャペルがあります。また、後陣の壁には樹齢1000年のバラ（千年のバラ、ヒルデスハイムのバラ）が茂っており、ヒルデスハイムの繁栄を象徴する存在として大切にされています。

聖ミカエル聖堂

聖ミカエル聖堂は、ヒルデスハイム中央駅から徒歩約15分の小高い丘の上に位置しています。1010年から1020年にかけて、ヒルデスハイムの司教ベルンヴァルトによってベネディクト派の聖堂として建設されました。

ベルンヴァルト司教は大天使ミカエルに深く傾倒しており、聖堂にその名を冠しました。教会の建設はベルンヴァルト司教の死後、後継者ゴーデハルトによって完成されました。ベルンヴァルト司教の遺骸は、この教会の地下に埋葬されています。

宗教改革後、ヒルデスハイムはプロテスタント側についたため、聖ミカエル聖堂もプロテスタントの教会となりました。しかし、ベネディクト派の修道院は1803年の世俗化まで地下聖堂を使用しました。そのため、地下聖堂は現在もカトリック教会の所有となっています。

聖ミカエル聖堂は第二次世界大戦中に空襲を受けましたが、1950年から再建が開始され、1957年に完了しました。1985年、聖ミカエル聖堂は大聖堂、樹齢1000年のバラの木とともにユネスコ世界遺産に登録されました。

ロマネスク様式

聖ミカエル聖堂は、早期ロマネスク様式の重要な教会の一つです。2つの袖廊を持つバシリカ聖堂であり、4つの角には尖塔が立っています。建物全体の設計は幾何学的な概念に基づいており、正方形を基本として、各部分の高さや寸法が1:2の比率になるように設計されています。

本堂の柱は、四角い柱と丸いアーチが交互に現れるNiedersächsischer Stützenwechselスタイルで飾られています。壁には採光と通風のためのアーチ・ウインドウがあります。

天井画

教会本堂の天井には、13世紀に描かれたイエス・キリストの系統樹が描かれた天井画が残されています。この天井画は聖ミカエル聖堂の最も重要な見所の一つであり、世界遺産登録の理由の一つとなりました。第二次世界大戦中は、天井板は安全な場所に保管され、戦火を免れました。

ヒルデスハイムの魅力

ヒルデスハイムは、ハノーファーの南に位置する中規模の街で、美しい旧市街があります。北ドイツ特有の木骨レンガ構造の建物が並び、世界遺産に登録された聖マリア大聖堂と聖ミカエル聖堂の他にも、美しい教会や中世の城壁などが残されています。ハノーファーとゲッティンゲンを結ぶ幹線上に位置しており、交通の便も良い街です。

登録基準

ヒルデスハイムの聖マリア大聖堂と聖ミカエル聖堂は、以下の世界遺産登録基準を満たしています。

(1): 人類の創造的才能を表現する傑作であること。
(2): 建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すものであること。
(3): 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠であること。

これらの基準を満たすことから、ヒルデスハイムの聖マリア大聖堂と聖ミカエル聖堂は、人類の共有財産として保護されるべき貴重な文化遺産であると言えるでしょう。

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