地下聖堂

地下聖堂の概要

地下聖堂、もしくはクリプトとは、教会や城の床下に存在する石造りの部屋や貯蔵室を指します。その言葉はラテン語の「crypta」やギリシャ語の「kryptē」に由来しています。これらの空間は主に、礼拝堂や納骨所として使用され、高貴な人物の石棺や遺物が収められています。また、地下に存在する聖堂が通常の聖堂と同様の役割を果たすことから、「地下聖堂」という名称が使われることがあります。

地下聖堂の設計と位置

通常、地下聖堂は教会のアプスの下に位置していることが多いですが、身廊の下にあることもあります。聖ミカエル聖堂のように、聖堂本体を2階以上に持ち上げて石室を配置する例は少なく、珍しいケースとされています。そのため、地下聖堂は特に印象的な建築要素となります。

その起源はキリスト教史の初期に遡り、アルジェリアのオルレアンビルやジェミラ、またコンスタンチノープルのビザンティオンに存在した聖ジョンの工房に見られる形跡があります。カール大帝の元で西ヨーロッパに広まり、10世紀以降、教会が聖遺物を同じ階に配置することが許可されるようになったため、石室墓の必要性は徐々に薄れていきました。さらに、ゴシック時代には石室墓はほとんど作られなくなります。

納骨所としての役割

近代において「crypt」という言葉は、主に死者を安置するための石造りの部屋、すなわち納骨所を指すようになりました。納骨所は公共の宗教施設である教会や大聖堂に設けられることが一般的ですが、個人の霊廟やチャペルの下に作られている場合もあります。特に裕福な家族や名士のために設計された「家族墓」も存在し、一つの墓に家族全員が入れるように作られることがあります。

多くの王室では、歴代の王族の遺骸が納めら個々の役割を果たしている多くの石室墓を持っていることも特徴的です。石室墓が地上に存在する場合、廟（mausoleum）と呼ばれることが一般的です。これらもまた、埋葬目的で精巧に設計された建築物です。

地下聖堂の事例

具体的な地下聖堂の例として、スウェーデンのルンド大聖堂やスコットランドのムチャルズ城が挙げられます。これらの場所では、地下聖堂が持つ歴史的価値や宗教的意義が体現されており、多くの訪問者を魅了しています。

関連項目

地下聖堂にまつわる関連項目には、カタコンベや廟、墓、納骨堂、骨壷などがあります。これらはすべて死者を敬うための文化的な側面を反映しており、地下聖堂が持つ特殊な役割を理解する手助けとなります。

もう一度検索