ヒロガシラトラザメ

ヒロガシラトラザメ (Holohalaelurus regani)

ヒロガシラトラザメはヘラザメ科に属するサメの一種で、ナミビアから南アフリカの沿岸に近い深海に生息しています。このサメは頑丈な体型を持ち、短い平たい頭部と非常に細長い尾を特徴としています。背面には複雑な暗褐色の模様があり、胸鰭や背面には棘が存在します。このサメの最大サイズは約69cmで、注目すべきは雄が雌よりも大きくなることです。

分類に関する歴史

ヒロガシラトラザメは1922年に南アフリカの魚類学者ジョン・ギルクリストによって初めて記載され、その際はトラザメ属（Scylliorhinus）に分類されました。さらに、種小名の「regani」は魚類学者チャールズ・テイト・リーガンに敬意を表して付けられています。その後、1934年にヘンリー・ウィード・ファウラーが本種をナガサキトラザメ属（Halaelurus）に移し、この亜属は後に属に昇格されました。様々な文献での混乱があったものの、2006年には新たに63cmの雄がネオタイプとして指定されました。

形態的特徴

ヒロガシラトラザメの体は固く、尾に向かって細長くなっています。非常に短く幅広い頭部を持ち、吻は鈍く、眼は楕円形で位置しています。鼻孔には長い前鼻弁があり、口は尖っています。歯は非常に大きく、鋭い尖りが特徴です。胸鰭も長く、各鰭は他のサメと比べて独特な形をしています。成長に伴い、幼体の斑点模様は成体になるにつれて複雑な網目状に変わります。最大サイズは雄で69cm、雌で52cmとされ、一般的に雄の方が大きくなる傾向があります。

生息地と分布

ヒロガシラトラザメはアフリカ大陸南端に特有の種で、ナミビアのリューデリッツから南アフリカのダーバンにかけて広がっています。古い記録では他の地域でも見られたと言われていますが、現在では別種として認識されていることが多いです。主に水深40mから最低1075mまでの深海地域に生息し、特に南アフリカで豊かな生息環境が確認されています。雌と幼体は通常、雄よりも浅い場所で見つかることが多いです。

生態と習性

ヒロガシラトラザメは他の深海サメと比べて大型の心臓を持ち、比較的活発な捕食者です。様々な硬骨魚や甲殻類、頭足類を捕食し、特に大型の個体では甲殻類の比率が増加します。卵生で、一年中繁殖が行われ、卵は特有の財布型の卵殻に包まれています。繁殖の間隔は明確ではないものの、浅い場所での繁殖行動が観察されることから、一定の頻度で繁殖活動が行われていることが推測されます。

人との関係

ヒロガシラトラザメは人間に対して無害で、経済的な価値も持ちません。ケープタウンでの底引き網漁によって一般的に混獲されることがありますが、興味深いことに、その個体群は増加しているとされています。繁殖力が高く、漁業活動の少ない場所で繁殖が行われるため、他の多くの軟骨魚類に比べて生存能力が高いと考えられています。IUCNによると、この種の保全状況は軽度懸念とされていますが、その分布域が限られているため、監視が必要です。

もう一度検索