ビクセン (企業)

株式会社ビクセンは、埼玉県所沢市に本社を置く、天体望遠鏡を中心とした総合光学機器メーカーであり、そのブランド名でもあります。同社は「星空を楽しみたくなる」時代と文化を創造することを目指し、「星を見せる会社」というビジョンを掲げています。

概要

ビクセンの社名は、19世紀の詩「クリスマスの前の夜」に登場するトナカイの名前「Vixen（ヴィクセン）」に由来します。この名前は、同社の製品が人々に夢と希望を与える存在であることを象徴しています。

ビクセンは、天体望遠鏡の国内市場において約60%のシェアを占め、業界首位を誇ります。世界市場においても、ミード、セレストロンに次ぐ約20%のシェアを確保しており、グローバルな光学機器メーカーとしての地位を確立しています。

売上構成は、天体望遠鏡が約40%、双眼鏡が約30%、顕微鏡・ルーペが約30%となっており、幅広い製品群が同社のビジネスを支えています。

沿革

ビクセンの歴史は、1949年に現社主である土田耕助氏が個人営業として創業したことに始まります。当初は光学器の卸販売を行っていましたが、1954年には株式会社光友社を設立し、本格的な光学機器メーカーとしての道を歩み始めました。

1957年には輸出部を新設し、アメリカ、ヨーロッパ、中近東などへの販路を拡大しました。同年には、第3回輸出工芸展で「通産大臣賞」と「神奈川県知事賞」を受賞し、その高い技術力が認められました。

1960年には、合理的な事務体制やユニークな販売組織が評価され、「都知事賞」を受賞。さらに、中小企業のモデルケースとして「中小企業庁長官賞」も受賞しました。

1966年には、天体望遠鏡の製造販売を開始し、「ジェミニエーター型」を発売しました。これは、同社が天体望遠鏡メーカーとしての地位を確立する上で重要な転換点となりました。

1969年には、工場部門を分離し、東京都板橋区にビクセン光学株式会社を設立。1970年には、株式会社光友社から株式会社ビクセンに社名を変更しました。1971年には、第二工場部門を分離し、アトラス光学株式会社を設立しました。

1976年には、所沢市本郷に工場用地を取得し、アトラス光学株式会社を移転。1984年には、ビクセン光学株式会社も同地に移転しました。同年には、世界初のアマチュア向け天体自動導入装置「スカイセンサー」を発売し、天体観測の分野に新たな革新をもたらしました。

1985年には、現在の本社所在地である所沢市東所沢に本社を移転しました。1986年には、フルマルチコーティング高精度双眼鏡「アルティマ」シリーズを発売。1989年には、ロータリー接点採用の高精度大型赤道儀「アトラクス」を発売しました。

1992年には、アトラス光学株式会社をビクセン開発工業株式会社に社名変更し、赤道儀式天体望遠鏡「グレートポラリス」シリーズを発売しました。1995年には、フィールドスコープ「ジオマ」シリーズがグッドデザイン賞を受賞しました。

1996年には、DCモーターパルス制御方式の天体自動導入装置「スカイセンサー2000」を発売しました。1997年には、インターネットホームページを開設し、1999年には、社内PCネットワークを構築しました。

2002年には、ビクセン光器工業株式会社と合併。2003年には、ドイツに現地法人ビクセンヨーロッパを設立。同年には、天体望遠鏡「SX（SPHINX）赤道儀」とフィールドスコープ「ジオマプロ」がグッドデザイン賞を受賞しました。

2005年には、経緯台式天体望遠鏡「ポルタシリーズ」を発売し、コミュニケーションサークル「ビクセンワンダーくらぶ トナかい」を発足しました。2006年には、ビクセン開発工業株式会社と合併しました。

2008年には、日食グラスが世界天文年2009日本委員会公認の太陽観察機材に認定されました。2009年には、中小企業庁による「元気なモノ作り中小企業300社」に選定され、創業60周年を迎えました。

2010年には、双眼鏡「ニューフォレスタHRシリーズ」がJIDAデザインミュージアム選定商品に認定。2011年には、天体望遠鏡「AXD赤道儀」と双眼鏡「アルテス」がグッドデザイン賞を受賞しました。

2012年には、天体望遠鏡「AXD赤道儀」がJIDAデザインミュージアム選定商品に認定。双眼鏡「アリーナHシリーズ」がグッドデザイン賞を受賞しました。

2014年には、経済産業省による「グローバルニッチトップ企業100選」に選定。2015年には、フリースタイル天体望遠鏡用ツール「APシリーズ」がグッドデザイン賞を受賞しました。

2016年には、APシリーズの赤道儀「APマウント」がJIDAデザインミュージアムセレクションVol.17選定商品に認定。2017年には、防振双眼鏡「ATERA H12×30」を発売。2019年には、エクスプローラー・サイエンティフィックと日本における総合代理店契約を締結しました。

2020年には、セレストロンと日本における総合代理店契約を締結し、現在に至ります。

主な商品

ビクセンは、天体望遠鏡、双眼鏡、フィールドスコープ、顕微鏡など、幅広い光学機器を製造・販売しています。

天体望遠鏡

鏡筒: 様々な光学設計の鏡筒をラインナップしています。
アクロマートのケプラー式屈折望遠鏡
60L鏡筒、80M鏡筒、80L鏡筒、90M鏡筒、90L鏡筒、102M鏡筒
セミアポクロマートのケプラー式屈折望遠鏡
SA70S鏡筒
アポクロマートのケプラー式屈折望遠鏡
FL55S鏡筒、FL70S鏡筒、FL80S鏡筒、FL90S鏡筒、FL102S鏡筒
ニュートン式反射望遠鏡
R100S鏡筒、R100L鏡筒、R125S鏡筒、R130S鏡筒、センサーR150S鏡筒、R150S鏡筒、R200S鏡筒、R200SS鏡筒
シュミットカセグレン式望遠鏡
200L鏡筒、280L鏡筒
小型赤道儀:
ポラリス赤道儀
ニューポラリス赤道儀
スーパーポラリス赤道儀 (SP)
SP-DX赤道儀
GP赤道儀
GP-DX赤道儀
GPE赤道儀
GP2赤道儀
GPD2赤道儀
スフィンクス赤道儀 (SX)
SXD赤道儀
SXP赤道儀
SXD2赤道儀
APマウント
中型赤道儀:
サターン赤道儀
センサー赤道儀（旧型/新型）
アトラクス赤道儀
ニューアトラクス赤道儀
AXD赤道儀
経緯台:
カスタム経緯台
カスタムD経緯台
ポルタ経緯台
ポルタII経緯台
スカイポッド経緯台
自動導入装置:
マイコン・スカイセンサー
マイコン・スカイセンサー2

双眼鏡

ビクセンの双眼鏡は、携帯性を重視したコンパクトタイプ、ダハプリズムタイプ、ポロプリズムタイプの3つのカテゴリーに分けられます。

コンパクトタイプ:
アリーナシリーズ
ジョイフルシリーズ
オペラグラスシリーズ
ダハプリズムタイプ:
ニューアペックスシリーズ
アペックスプロシリーズ
フォレスタHRシリーズ
ニューフォレスタHRシリーズ
アトレックシリーズ
ポロプリズムタイプ:
アスコットシリーズ
アルティマシリーズ
フォレスタシリーズ
アークシリーズ

フィールドスコープ

ジオマII ED52S
ジオマ52S
アロマ52A

顕微鏡

幅広い用途に対応する顕微鏡をラインナップしています。

ルーペ・コンパス

観察やアウトドアでの使用に便利なルーペやコンパスを提供しています。

グループ企業

ビクセンは、グローバルな展開を支えるために以下のグループ企業を有しています。

Vixen Europe GmbH（ドイツ）
ビクセンマーケティング株式会社

テレビ番組

ビクセンは、テレビ番組「日経スペシャル カンブリア宮殿」で紹介されました（2015年12月10日放送）。

脚注

注釈
出典

関連項目

恋する小惑星：アニメ制作に協力し、資料提供やコラボレーション企画を実施しています。

外部リンク

公式ウェブサイト
公式オンラインストア
公式 英語グローバルサイト
公式 中国語グローバルサイト

ビクセンは、天体望遠鏡をはじめとする光学機器を通じて、人々に星空の魅力を伝え続けています。今後も、その技術力と革新的な発想で、さらなる感動と発見を提供してくれるでしょう。

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