セレストロン

セレストロン（Celestron, LLC.）は、アメリカ合衆国カリフォルニア州トーランスに本社を置く、天体望遠鏡、双眼鏡、顕微鏡、および関連アクセサリーの製造・輸入会社です。

歴史

セレストロンのルーツは、1955年にトム・ジョンソンによって設立されたバロー・エレクトロニクス社にあります。当初、バロー社は光学部品や軍事用部品を製造していましたが、1960年にジョンソンは光学部門「アストロ＝オプティカル」を立ち上げました。その後、1964年に「セレストロン・パシフィック社」として正式に発足しました。

セレストロンの名を世に知らしめたのは、ジョンソンが設計した口径8インチ（203.2mm）のシュミットカセグレン式望遠鏡「C8」の発売でした。これは、シュミットカセグレン式望遠鏡として初めて大量生産された製品であり、アマチュア天文家や教育者が手軽に大口径・長焦点の望遠鏡を入手できるという画期的な出来事でした。

しかし、創業者ジョンソンは1980年に会社を売却し、その後、1997年にはタスコ（現在はブッシュネル社の子会社）に買収されました。2001年にタスコが事業停止した際には、セレストロンも倒産寸前の状態に陥りました。2003年初頭には、ライバル企業であるミードによる買収が試みられましたが、破産裁判の結果、元の経営陣の手に戻ることになりました。

2005年4月、セレストロンはSW Technology（デラウェア州）とSynta Technology（台湾）の支社によって買収されました。Syntaは、ビクセンやセレストロンなどの企業が設計した製品のコピー品を製造する大手メーカーです。

日本においては、2020年1月よりビクセンが代理店を務めています。

製品

セレストロンは、一般消費者向けにシュミットカセグレン式望遠鏡を大量生産した最初の企業であり、1960年代中頃に発表された8インチの望遠鏡「C8」は、その代表的な製品です。特徴的なマットオレンジの鏡筒（1980年に光沢のある黒に変更、2006年にやや艶のあるオレンジに復帰）、ダブルフォーク式赤道儀、そして大口径ながらもコンパクトなデザインが特徴です。

セレストロンの主な製品ラインナップ（2007年時点）は以下の通りです。

C5、C6、C9.25、C11、C14シュミットカセグレン式望遠鏡（"C"に続く数字は口径をインチ単位で示します）
C8、C6、C9.25、C11は、GoTo機能（SkyAlignとして知られています）を備えたダブルフォークマウント（経緯台としても赤道儀としても使用可能）または中重量のドイツ式赤道儀に搭載できます。
C8、C9.25、C11、C14は、鏡筒をカーボンコーティングしたモデルがあり、堅牢なドイツ式赤道儀に搭載可能です。
2.4インチから6インチの屈折式望遠鏡
6インチから10インチの反射式望遠鏡
6インチから12インチのドブソニアン望遠鏡（スターホッパーシリーズ）
90mmと130mmのマクストフカセグレン望遠鏡C90およびC130（"C"を冠していますが、後に続く数字はミリ単位での口径です。）
SkyScout

セレストロンは、他のメーカーと同様に、指定された場所へ自由に望遠鏡を向けることができるマウントに加え、コンピューター制御による天体導入システム（一般にGoToと呼ばれています）も提供しています。コンピューター搭載モデルの多くは、RS232ケーブルを介して外部のコンピューターに接続でき、サードパーティーの天文ソフトウェアやGPS受信機との連携が可能です。GPS受信機は、望遠鏡に正確な時間と位置情報を設定するのに役立ち、より精密な天体追尾を可能にします。

ミードとの競争

1972年の設立以来、ミードはセレストロンの最大のライバルとして競い合ってきました。デザイン、サイズ、新製品の開発、価格設定など、両社の製品ラインナップやモデルは、互いに影響を与え合っています。この競争は、特許に関する訴訟（最近ではGoToに関するもの）にまで発展しています。

外部リンク

公式HP
サイトロンジャパン (前代理店。1999/11～2019/12/31まで)

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