ビクター/ビクトリア

映画『ビクター/ビクトリア』について

『ビクター/ビクトリア』（Victor Victoria）は、1982年に公開されたヒューマン・ミュージカル映画で、異なる性別のアイデンティティや異性装をテーマにしています。この作品の監督はブレイク・エドワーズで、彼の妻であるジュリー・アンドリュースが主演を務めました。近年のミュージカル作品でも見受けられるテーマを扱っており、多くの人に愛されています。

映画は、1933年に制作されたドイツ映画『カルメン狂想曲』を原作としています。この1933年の作品を基に、ブレイク・エドワーズとHans Hoemburgが新たに脚本を手掛けました。また、1995年にはブロードウェイでもミュージカルバージョンが上演され、さらにその魅力を発揮しました。

本作は、アカデミー賞において7部門でノミネートを受け、見事にアカデミー作曲賞を獲得。この映画の中でも特に注目を集めるのが、ロバート・プレストン演じるトディが歌い上げる最後のナンバー「The shady dame from Seville」です。このナンバーは、息を切らしながらもワンテイクで撮影され、そのパフォーマンスは多くの観客の心を掴みました。

あらすじ

物語は1934年の冬のパリから始まります。ゲイの初老エンターテイナー、トディ（ロバート・プレストン）は、恋人リチャードと口論した後、気持ちを切り替えようとナイトクラブ「シェ・ルイ」へ向かいます。そこで、彼は一人の女性、ヴィクトリア（ジュリー・アンドリュース）がオーディションを受けているのを目にします。彼女の素晴らしい声は、ワイングラスを割るほど。その実力にもかかわらず、ナイトクラブではそのような声は求められていないのが現実でした。

その後、トディは自らのトラブルに巻き込まれ、ナイトクラブを追い出されてしまいます。偶然入ったレストランで、再びヴィクトリアと出会い、彼女が無銭飲食を企てていることを知ります。二人は意気投合し、しばしの時間を共に過ごすことになるのです。

次の日、ヴィクトリアはトディのアパートに一晩泊まることになりますが、衣服が合わずに困り果てているところに、偶然リチャードが現れるという波乱の展開に。トディはその状況からアイデアを思いつき、ヴィクトリアを亡命ポーランドの伯爵ヴィクター・グラジンスキーとして売り出そうと計画します。

この映画では、性のアイデンティティと演じることの意味がどのように交差するのかを描き出しており、心温まる笑いとともに、観客に深く考えさせられるテーマが盛り込まれています。

キャスト

• - ビクトリア／ビクター: ジュリー・アンドリュース（武藤礼子）
• - トディ: ロバート・プレストン（森山周一郎）
• - キング: ジェームズ・ガーナー（羽佐間道夫）
• - ノーマ・キャシディ: レスリー・アン・ウォーレン（山口奈々）
• - スカッシュ: アレックス・カラス（神山卓三）
• - ラビス: ピーター・アーン（池田勝）

本作の受賞歴には、アカデミー賞編曲・歌曲賞の受賞が含まれ、一方で助演男優賞や主演女優賞、助演女優賞など多数のノミネートを受けています。

『ビクター/ビクトリア』は、単なるエンターテイメントとしてだけでなく、観客に重要なメッセージを伝える映画として、今なお多くの人々に愛され続けています。

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