ビグアニド

ビグアニドとは

ビグアニド（Biguanide）は、窒素を含む有機化合物の一種で、グアニジンという構造が二つ連なった形をしています。水に溶けやすく、水溶液は塩基性を示します。また、水中でゆっくりと分解し、アンモニアと尿素を生成する性質を持ちます。

ビグアニドは、その構造を持つ化合物の総称としても使われ、様々な種類の誘導体が存在します。代表的なものとして、以下のものがあります。

抗糖尿病薬: 血糖値を下げる効果があり、糖尿病治療に用いられます。
抗マラリア薬: マラリアの治療に用いられます。
* 殺菌薬・消毒薬: 細菌やウイルスを殺菌する効果があり、消毒に使用されます。

特に、ビグアニド系の抗糖尿病薬は「ビグアナイド」と呼ばれることも多く、糖尿病治療において重要な役割を果たしています。

ビグアニド系抗糖尿病薬

ビグアニド系の抗糖尿病薬は、中東原産のガレガソウという植物から発見されました。古くから民間薬として糖尿病に使われていたガレガソウから、1920年代に血糖値を下げる効果を持つグアニジン誘導体が見つかりました。

当初、毒性の低い化合物が糖尿病治療に用いられましたが、インスリンの発見により一旦は下火となりました。しかし、1950年代に2型糖尿病の治療薬として再び注目を浴びるようになりました。

最初に使われたフェンホルミンは、重大な副作用である乳酸アシドーシスを引き起こすことが判明し、使用されなくなりました。その後、ブホルミン、メトホルミンが使われるようになりましたが、これらの薬剤も乳酸アシドーシスのリスクがあるため、注意が必要です。

ビグアニド系薬剤は、インスリンの分泌を促進する他の血糖降下薬とは異なり、1型糖尿病と2型糖尿病の両方に効果があります。これは、インスリン抵抗性を改善し、肝臓での糖新生を抑制するなどのメカニズムによるものです。

ビグアニド系薬剤の注意点

メトホルミンやブホルミンなどのビグアニド系薬剤は、まれに乳酸アシドーシスを引き起こす可能性があります。特に、腎機能障害や肝機能障害のある患者さんへの使用は禁忌とされています。

乳酸アシドーシスのリスクは、薬剤の側鎖の脂溶性が高いほど高くなることが知られています。そのため、ビグアニド系薬剤を使用する際は、医師の指示に従い、定期的な検査を受けることが重要です。

まとめ

ビグアニドは、様々な誘導体を持つ化合物であり、特に抗糖尿病薬として重要な役割を果たしています。その歴史やメカニズムを理解することで、より安全かつ効果的な治療に繋げることができます。

ビグアニド系薬剤を使用する際は、必ず医師や薬剤師の指示に従い、自身の体調をしっかりと管理するようにしましょう。

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