ビジネスプロセス・リエンジニアリング

ビジネスプロセス・リエンジニアリング（BPR）とは

ビジネスプロセス・リエンジニアリング（BPR）は、企業活動を「プロセス」という視点から分析し、再構築することで、企業の利益を最大化するための活動です。ビジネスは、複数のプロセスが連鎖して構成されるシステムとして捉えることができます。このシステムが生み出す利益は、プロセスの構造や効率によって大きく左右されます。

従来の組織では、長年の積み重ねにより構造が歪になり、不必要に細分化されたり、プロセス間の連携がスムーズでなかったりする場合があります。BPRは、このような問題を解決するために、ビジネス全体をシステムとして捉え、根本的な再構築（リエンジニアリング）を行います。

BPRの必要性

各プロセスにおける業務改善は、時に利益向上に貢献しますが、システム全体で見るとボトルネックが別の場所に存在する場合、効果が限定的になることがあります。また、各プロセスをどれだけ効率化しても、システム構造自体に問題があれば、利益は頭打ちになります。さらに、新しい技術の登場によって、過去の最適解が陳腐化してしまうこともあります。BPRは、これらの問題をシステムレベルで解決するために不可欠な取り組みです。

BPRの実行における課題

システムの構造は、コミュニケーションや組織構造と密接に関連しているため（コンウェイの法則）、古いビジネスシステムは、組織構造と強く結びついていることが多いです。そのため、BPRの実行が組織の壁に阻まれることがあります。BPRを成功させるためには、トップマネジメントによる強い意志、あるいは組織改編を含めた大胆な実行が必要となる場合があります。

BPRの具体的なアプローチ

BPRは、高度に専門化され、分断された分業型組織を改革するために、組織、ビジネスルール、手順を根本的に見直します。組織構造、職務、業務フロー、管理機構、情報システムなどを再設計し、最終顧客に対する価値を最大化することを目指します。このプロセスには、組織全体を巻き込む変革が必要となります。

BPRの起源

BPRの概念は、元マサチューセッツ工科大学教授のマイケル・ハマーと経営コンサルタントのジェイムス・チャンピーが1993年に発表した著作「Reengineering the Corporation: A Manifesto for Business Revolution」によって世界的に広まりました。この著作は、従来の業務改善の限界を指摘し、根本的な変革の必要性を訴えました。

BPRにおける分析手法

BPRを実行する際には、現状を正確に把握し、改善点を明確にするための分析手法が用いられます。主な手法として、以下のものがあります。

1. 活動基準原価計算（ABC）

ABCは、業務プロセスを「活動（Activity）単位」に分解し、それぞれの活動にかかるコストを算出する手法です。これにより、どの活動がどれだけのコストを消費しているのかを可視化できます。特に、情報システムによって業務プロセスが刷新された場合、コスト削減効果を数値として具体的に把握することができます。

例：コスト＝人件費及び設備の時間単価×時間×回数

2. バランスト・スコアカード（BSC）

BSCは、企業や組織のビジョンと戦略を、財務、顧客、内部プロセス、学習と成長という4つの視点から具体的なアクションへと落とし込むためのフレームワークです。BSCを活用することで、戦略の立案と実行を支援するとともに、市場や環境の変化に合わせて戦略を柔軟に適合させることができます。