ビジネス・イノベーション・技能省

イギリスのビジネス・イノベーション・技能省：設立から廃止まで

2009年6月5日、イギリス政府にビジネス・イノベーション・技能省（Department for Business, Innovation and Skills, 略称BIS）が誕生しました。これは、ゴードン・ブラウン政権下での内閣改造に伴う措置で、それまで別々に存在していた2つの省庁、イノベーション・大学・技能省（DIUS）とビジネス・企業・規制改革省（BERR）を統合することで設立されました。

BISは、英国経済の活性化と国際競争力強化を目的とし、幅広い分野を管轄していました。その役割は、単なる行政機関にとどまらず、イギリスのビジネス環境を整備し、イノベーションを促進し、国民の技能向上を支援するという、重要な政策の中枢を担うものでした。

BISの主要な所管分野

BISの業務は多岐に渡り、大きく以下の分野に分類されます。

ビジネス環境整備: 企業活動の規制、支援、会社法、競争政策、消費者保護など、企業が健全に発展できる環境づくりに注力しました。コーポレートガバナンスの推進や、公正な労使関係の構築にも取り組んでいました。
イノベーション促進: イノベーション政策の立案・実行を通じて、企業の技術革新や新産業創出を支援しました。研究開発の促進、知的財産の保護、宇宙開発など、未来志向の政策にも積極的に取り組んでいました。
人材育成: 教育、特に高等教育と継続教育の促進、職業訓練、スキル向上のための政策など、人材育成を国家戦略の柱として位置づけていました。
貿易・経済発展: 国際貿易の促進、輸出入規制、広域的・地域的な経済発展政策など、イギリス経済の国際競争力強化に向けた施策を展開しました。
* その他: 郵便事業、債務超過企業への対応など、国民生活に密着した分野も担当していました。

BISの廃止

BISは2016年7月、テリーザ・メイ首相の就任に伴い、エネルギー・気候変動省と統合され、ビジネス・エネルギー・産業戦略省となり、その歴史に幕を閉じました。これは、政府全体の効率化と政策の一体化を目的とした組織再編の一環として行われました。

BISの遺産

BISは、短い期間ではありましたが、イギリスの経済政策、イノベーション政策、教育政策に大きな影響を与えました。その活動は、現在もイギリスの経済社会の基盤として機能しており、BISが築き上げた政策や制度は、現代イギリスの姿を形作る上で重要な役割を果たしていると言えるでしょう。 BISの取り組みは、政府機関がどのようにビジネス環境、イノベーション、そして人材育成を総合的に捉え、政策を立案し実行していくかを示す好例として、今後も研究・分析されるべき重要なテーマです。

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