ビセンテ・ゲレロ

ビセンテ・ラモン・ゲレロ・サルダーニャの生涯と業績

ビセンテ・ラモン・ゲレロ・サルダーニャ（1782年8月10日 - 1831年2月14日）は、メキシコの軍人および政治家であり、1829年には第2代メキシコ大統領を務めた。彼の名前は、今日のメキシコにおいても多くの人々に知られ、英雄視されている。

幼少期と背景

ゲレロは、ティシュトラでクリオーリョの家庭に生まれました。父親はスペインによるメキシコの支配を支持していましたが、ゲレロは独立派に目覚め、19世紀初頭のメキシコ独立革命に参加することになります。彼の先祖には黒人の血も流れており、そのため彼の身分は単なるクリオーリョに留まらず、多様な背景を持つ人物として知られていました。

メキシコ独立革命への参加

1810年9月16日に始まったメキシコ独立革命において、ゲレロは最初に武器製造に従事していましたが、11月にはホセ・マリア・モレーロスの指揮する部隊に加わり、戦闘に参加します。数々の戦闘で神出鬼没の活躍を見せ、特にイスカルの戦闘での活躍が評価され、中佐に昇進しました。

しかし、1814年にはスペイン軍の強化によってメキシコ独立軍は大きな打撃を受け、ビセンテも一時的に戦線を離れます。その後、元々敵だったアグスティン・デ・イトゥルビデと同盟を結び、メキシコの独立に向けて再び戦うことになります。

大統領としての業績

1821年9月には、メキシコ帝国の成立が承認されます。以降、1822年に関わったカサ・マタ綱領の作成を通じて、君主制の廃止と共和制の樹立が進みます。こうした変革の中で、ゲレロは1829年にメキシコの大統領に就任しました。

彼の大統領としての最初の業績は、奴隷制の迅速な廃止でした。これは、国内での人権意識の高まりを反映したものであり、彼の政治的立場を強化しましたが、その任期は短命に終わりました。推定9ヶ月足らずの在任期間中、彼は直接的な権力闘争に巻き込まれ、1831年に副大統領アナスタシオ・ブスタマンテによるクーデターで失脚します。

不遇の晩年と名誉の回復

失脚後、ゲレロは復権を目指し行動を起こしますが、1831年に逮捕され、収賄罪で裁判にかけられました。そして、同年2月に銃殺刑にされてしまいます。しかし、彼の死後の1833年には共和派の支持を受けて名誉が回復され、メキシコの歴史において重要な人物として再評価されるようになりました。

現在のメキシコでは、ゲレロは「歴史上の英雄」として広く知られ、彼にちなむ州名「ゲレーロ州」が存在するなど、彼の名はメキシコ国民の心に深く刻まれています。

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