ビッグ・ジェネレイター

『ビッグ・ジェネレイター』（Big Generator）は、1987年に発表されたイエスのスタジオ・アルバムです。メンバーは前作『ロンリー・ハート』（1983年）と同じく、ジョン・アンダーソン、クリス・スクワイア、トニー・ケイ、トレヴァー・ラビン、アラン・ホワイトの5人です。

制作の経緯

前作発表から2年後の1985年に企画と制作が開始されました。当初は前作に引き続きトレヴァー・ホーンがプロデュースを担当していましたが、途中降板したため、代わりにラビンが中心となって完成させました。この交代劇が象徴するように、本作の制作は難航しました。クリス・スクワイアは「（実際に発表された1987年より）1年前に、もっといいタイミングで出せた」とコメントしています。

また、『ビッグ・ジェネレイター』はイエス初のデジタル・レコーディング作品です。スクワイアは当時の『ベース・マガジン』のインタビューで、「当時は誰もデジタルを信用していなかったので、アナログでバックアップデータも録っていた」と語っています。

音楽的内容

音楽的には、前作以上にラビンのカラーが強く反映されています。歌詞は従来のイエスが持つ幻想性や抽象性に乏しく、「リズム・オブ・ラヴ」のように直接的な内容の楽曲も含まれています。

当時の音楽誌では、作曲面でもラビンが主導権を握っていたと評されました。しかし、スクワイアが採用したラビンの曲は「ラヴ・ウィル・ファインド・ア・ウェイ」のみでした。むしろスクワイアはアンダーソンと共に、他の3人が書いた原曲を歌詞やボーカルのメロディーなどで膨らませる役割を担いました。

アルバム完成後、アンダーソンは本作やバンドの在り方に失望し脱退。黄金期のイエスの復活を求めて、アンダーソン・ブラッフォード・ウェイクマン・ハウ（ABWH）を結成し、アルバム『閃光』を発表しました。

収録曲



リマスター盤ボーナス・トラック

2009年にCDのリマスター盤が発売され、音質の向上が図られています。また、以下のボーナス・トラックが追加収録されています。

1. ラヴ・ウィル・ファインド・ア・ウェイ（エディット・ヴァージョン） - "Love Will Find a Way" (edited version)
2. ラヴ・ウィル・ファインド・ア・ウェイ（エクステンデッド・ヴァージョン） - "Love Will Find a Way" (extended version)
3. リズム・オブ・ラヴ（ダンス・トゥ・ザ・リズム・ミックス） - "Rhythm of Love" (Dance to the Rhythm Mix)
4. リズム・オブ・ラヴ（ムーヴ・トゥ・ザ・リズム・ミックス） - "Rhythm of Love" (Move to the Rhythm Mix)
5. リズム・オブ・ラヴ（ザ・リズム・オブ・ダブ） - "Rhythm of Love" (The Rhythm of Dub)

参加メンバー

ジョン・アンダーソン – ボーカル
トレヴァー・ラビン – ボーカル、アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター、キーボード、ストリングス・アレンジ
トニー・ケイ – ハモンド・オルガン、ピアノ
クリス・スクワイア – ベース、バッキング・ボーカル
アラン・ホワイト – ドラムス、パーカッション、バッキング・ボーカル

もう一度検索