ビデオ・ゲーム・ミュージック

ビデオ・ゲーム・ミュージック

日本初のゲームミュージックサウンドトラック『ビデオ・ゲーム・ミュージック』は、1983年にリリースされました。このアルバムは、ナムコが1980年から1983年にかけて発表したアーケードゲームのBGMと効果音を集めたもので、プロデューサーは著名な音楽家、細野晴臣です。

発売の背景

このアルバムが生まれたきっかけは、1983年11月に行われた細野晴臣とナムコの開発者遠藤雅伸との対談です。この対談は雑誌『ログイン』の編集者、野々村文宏の仲介で実現しました。細野は当時『ゼビウス』のBGMに魅了されており、ローランドMC-8でその音楽を再現しながら楽しんでいたと語っています。この話し合いが、ゲーム音楽アルバム制作のムーブメントを引き起こしました。

アルバムの制作は当初の計画から時間がかかりましたが、1984年2月中旬には録音が開始されました。独自の手法として、基板からPCM形式で音をライン収録する方法が選ばれ、最終的には収録と編集に2週間を要しました。音源制作には遠藤も積極的に協力しました。そして1984年5月10日、ナムコ直営のゲームセンターで細野と遠藤が本作を紹介する生中継が行われ、注目を集めました。

商品情報

『ビデオ・ゲーム・ミュージック』は、初週5700枚の売上を記録し、オリコンチャートにおいて初登場19位という快挙を達成しました。発売当初はレコードとカセットテープのみでしたが、1986年には『ザ・ベスト・オブ・ビデオ・ゲーム・ミュージック』としてCD化され、1996年にはボックスCDにも収録されました。さらに2001年には復刻版が発売され、当時の制作事情や収録ゲームのエピソードが記載された冊子も付属しました。

収録曲

アルバムは大きくSIDE AとSIDE Bに分かれています。SIDE Aには『ゼビウス』や『PAC-MAN』などが収録されており、それぞれの曲はゲームセンターの喧騒や効果音を取り入れて独自のリミックスが施されています。特に『ゼビウス』の冒頭部分は実際のゲームセンターでの録音が使用されており、臨場感が感じられます。

SIDE Bには『LIBBLE RABBLE』や『GALAGA』といった名作の音楽が収録され、各曲にはシンセサイザーが加えられたアレンジも見られます。各曲が持つエネルギーとリズムは、プレイヤーをゲームの世界に引き込む力を持っており、その中でも特に『GALAGA』のアレンジは、遠藤自らが「ミッドナイトハイウェイ」と表現した印象的な展開が特徴です。

ジャケットとライナーノーツ

アルバムのジャケットには、ナムコのゲーム『ゼビウス』の景観をモチーフにしたデザインが施されています。人物の顔には初期盤と後期盤で異なるバージョンが存在し、2001年版CDでは元のデザインに戻すことも可能です。また、ライナーノーツには野々村文宏や中沢新一の寄稿もあり、本作や当時の制作背景を知る貴重な情報が得られます。

このアルバムは、ゲーム音楽に新しい光を当て、以降の多くのゲームミュージックの基礎となった歴史的な作品です。ゲームの進化とともに、音楽も一緒に進化を遂げてきたことを再確認させてくれます。

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