ビハインド・ザ・マスク (曲)

ビハインド・ザ・マスク（BEHIND THE MASK）

イエロー・マジック・オーケストラ（YMO）の楽曲「ビハインド・ザ・マスク」は、1980年代の音楽シーンに多大な影響を与えた名曲です。この曲は、坂本龍一が作曲し、クリス・モズデルが作詞を手がけました。また、マイケル・ジャクソンもこの楽曲の録音に携わるなど、世界的な注目を集めました。

背景

「ビハインド・ザ・マスク」は、1979年にYMOがリリースしたアルバム『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』に初めて収録されました。実は、この曲はYMOがデビューライブを行った際から演奏されており、世に出る前から彼らのセットリストに含まれていました。

制作にあたっては、坂本がセイコーのCM用に手弾きで作成したトラックを基にしています。このトラックはYMOのベストアルバム『UC YMO』にも収録されています。

制作プロセス

坂本龍一は、これまでとは異なるシンプルなロックコード（F-D♭-E♭-Cm/C）を用いて楽曲を制作しました。メロディについては坂本自身と高橋幸宏が協力して作り上げたため、当初高橋も作曲者としてクレジットされていました。曲の初聴時、細野晴臣と高橋幸宏はこの曲を「ごく普通の曲」と感じ、特に細野はその魅力を認識できなかったことを後に「プロデューサーとしては失格」と語っています。

録音過程

『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』の完成には5日を要しました。録音は以下の順序で行われ、その工程は松武秀樹の著書『たった1人のフルバンド』に詳しく記されています。
1. ベース
2. アルペジオ
3. キック（MOOG III-C）
4. スネアとハイハット（高橋幸宏）
5. テーマ
6. ヴォコーダーとコード

独特な演奏の合図音も楽曲の一部として使用されています。これにより、曲の立体感が生まれています。

国際的な評価

この曲は海外のツアーでも演奏され、聴衆が自然に踊り出す現象が見られました。坂本は「この曲は現地の人々が『ロックンロールだ！』と騒ぐ唯一の楽曲である」と何度か言及していますが、なぜそんな反響があるのか、自身も理解できないことを明かしています。

また、2011年のNHK Eテレのプログラム『スコラ 坂本龍一 音楽の学校』でもこの楽曲が解析され、テンポが一般的なテクノ・ポップのそれよりも遅く、独自のリフが特徴的であると指摘されています。ギターを使った演奏は指の動きが少なく、スライドで簡単に演奏できるように作られている点が注目されていました。

リフの構造やブルースに似たコード進行も、愉しさを生む要因とされています。特にBメロでのベースラインはリズム・アンド・ブルースを連想させる部分があり、多彩なアプローチがこの楽曲の魅力をさらに引き立てています。

カバーアーティスト

「ビハインド・ザ・マスク」は、マイケル・ジャクソンをはじめ、多くのアーティストにカバーされており、エリック・クラプトンやヒューマン・リーグ、グレッグ・フィリンゲインズなどの名だたる名前が並びます。また、斉藤和義によるカバーも注目されています。それぞれのアーティストによって新たな解釈が加えられ、楽曲は今でも愛され続けています。

このように、「ビハインド・ザ・マスク」は坂本龍一の音楽的探求を象徴する作品であり、世代を超えて高い評価を受けています。それは、シンプルでありながらも深みがあるメロディとリズムが、聴く人々に強い印象を与えるからに他なりません。

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