ビブラクテ

ビブラクテは、古代ガリアの有力部族であったハエドゥイ族が築いた主要なオッピドゥム（城塞都市）であり、ガリア地方全体で見ても非常に重要なヒルフォート（丘の砦）でした。現在のフランス、ブルゴーニュ地方のオータン近郊に位置していました。ハエドゥイ族の文化は、鉄器時代後期に特徴的なラ・テーヌ文化に属しています。

紀元前58年、ビブラクテ近郊で歴史的な戦いが繰り広げられました。ガイウス・ユリウス・カエサル率いるローマ軍が、ビブラクテの南16マイルの地点でヘルウェティイ族を打ち破ったのです。さらに、紀元前52年には、ウェルキンゲトリクスがビブラクテでガリア人連合の指導者として選出され、ガリア全土の反乱を率いました。カエサルがガリア戦役を詳細に記録した『ガリア戦記』は、アレシアの戦いに勝利した後に、ビブラクテで口述筆記され完成したとされています。

ローマによるガリア征服後、ビブラクテは徐々に衰退し、約25キロメートル離れた場所に新しい都市オータンが建設されました。その後、ビブラクテは放棄され、人々の記憶からも薄れていきましたが、そのおかげで遺跡は地中にそのまま保存されることとなり、近代になってから発掘調査が行われることになりました。

最初の発掘調査は、1867年から1895年にかけて、ワイン商人のガブリエル・ブイヨによって行われました。その後、彼の甥であるジョセフ・デーシュレットが1897年から1907年にかけて発掘を引き継ぎ、その業績は『Manuel d'Archéologie』という著作にまとめられ、後世に知られることとなりました。

現在、ブーヴレ山が古代のビブラクテがあった場所と考えられています。この遺跡は、ブルゴーニュ地方のニエーヴル県とソーヌ＝エ＝ロワール県の県境にまたがっており、周囲は保護林に囲まれています。遺跡は考古学的公園として一般に公開されており、ガリア文化を紹介する展示施設とともに、若い考古学者たちの研修の場としても活用されています。ブーヴレ山では、シェフィールド、キール、ブダペスト、ウィーン、ライプツィヒといった欧州の主要な大学の研究チームが共同で発掘調査を行っており、古代ガリアの歴史解明に貢献しています。

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