ビブリオテーカ＝イタリアーナ

ビブリオテーカ＝イタリアーナについて

概要

ビブリオテーカ＝イタリアーナ（Biblioteca Italiana）は、1816年から1859年にわたり、ロンバルド＝ヴェネト王国で発行された文芸・科学・思想に関する雑誌です。この雑誌は、ロマン主義と古典主義の間での活発な論争を中心に、イタリアの文化的議論の重要なプラットフォームとなりました。

歴史的背景

1805年から1814年の間、ナポレオンによるイタリア王国が成立し、ミラノは文化と知性の中心地となりました。多くの著名な文学者が集まるこの都市では、詩人シルヴィオ・ペッリコなどが活動し、愛国的な文学が盛んに創作されていました。しかし、ウィーン体制が成立すると、ミラノはオーストリア帝国の一部となり、その結果、検閲や言論統制が行われ、自由な学術文化が失われていきました。

特に1816年、トンマーゾ・グロッシがオーストリア皇帝に対する批判的な伝記を出版し逮捕されたことは、本誌創刊の背景となりました。オーストリア帝国は、文士たちを強圧的に抑えつけるのではなく、意図的に文化的な影響を浸透させる方針に転じました。

創刊と意図

このような背景の中で、ジュゼッペ・アチェールビの手によって「ビブリオテーカ＝イタリアーナ」が創刊されました。雑誌はイタリア語で執筆され、外国文学、特にドイツ文学に焦点を当てることで、以前の愛国的文学に対する固執を和らげようとしたのです。しかし、この戦略は逆効果をもたらしました。多くのロマン主義の作品が紹介されることで、愛国的な文学者たちの間に論争が勃発しました。

文学的論争

ビブリオテーカ＝イタリアーナでは古典主義が優位であったものの、ロマン主義の影響が次第に強まり、文学者たちはその間に意見の対立を繰り広げました。やがて、ロマン主義の支持者たちが雑誌を脱退し、新たに『コンチリアトーレ』という雑誌が創刊されました。これはイタリアでのロマン主義を広める重要な動きとなりました。特にシルヴィオ・ペッリコは、ビブリオテーカ＝イタリアーナから去ることで、ロマン主義の運動にさらなる火を灯しました。

ビブリオテーカ＝イタリアーナのその後

その後もビブリオテーカ＝イタリアーナは様々な論争を経ながら存続しましたが、徐々に影響力を失い、1820年代には活発な議論は行われなくなりました。1859年にはオーストリア帝国が雑誌の意義を失ったとして廃刊を決定しました。

影響と評価

ビブリオテーカ＝イタリアーナはイタリア文学史において重要な役割を果たしました。その存在は、ロマン主義と古典主義の対立を明らかにし、文学的発展を促す一助となったからです。イタリア統一運動と相まって、この雑誌はイタリア文化の再生に寄与しました。今日でも、ビブリオテーカ＝イタリアーナはその時代の文化的背景を理解するための貴重な資料とされています。

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