ビュイック・エンビジョン

エンビジョン (ENVISION)

エンビジョン（ENVISION）は、アメリカの自動車メーカーであるゼネラルモーターズ（GM）が製造し、そのサブブランドであるビュイックから販売されているクロスオーバーSUVです。この名称は、英語で「心に描く」「直面する」といった意味合いを持ちます。

コンセプトモデルの登場

2011年4月18日、中国・上海で開催された上海モーターショーにおいて、エンビジョンという名のコンセプトカーが初めて公開されました。このモデルは、環境性能に配慮したプラグインハイブリッドシステムを搭載するSUVとして提案されたもので、GMと上海汽車との合弁企業である上海GMおよび、両社共同の開発拠点であるPATAC（パン・アジア・テクニカル・オートモーティブ・センター）が共同で開発を手掛けました。

初代モデル (2014年 -)

コンセプトモデルの登場から数年を経た2014年7月、中国で量産仕様の初代エンビジョンが正式にお披露目されました。同年10月には、中国市場での販売が開始されています。この初代モデルは、ビュイックのSUVラインナップにおいて、コンパクトなアンコールと大型のアングレイブの中間に位置づけられるサイズ感を持っており、中国語では「昂科威」（オンカーウェイ）と呼称されます。

中国市場での成功を受けて、初代エンビジョンは北米市場にも投入されることになりました。2016年1月、デトロイトで開催された北米国際オートショーで北米初公開を果たし、同年夏からアメリカ国内での販売がスタートしています。特筆すべきは、この北米向けモデルの生産が中国で行われ、アメリカへ輸出される形で供給された点です。

発売後も改良は続けられ、2017年11月22日には中国市場向けに最初のマイナーチェンジが実施されました。この改良では、内外装のデザインがビュイックの最新テイストに合わせて変更されたほか、2.0Lエンジン搭載モデルには新たに9速オートマチックトランスミッションが組み合わされるなど、メカニズムにも手が加えられています。続く2018年2月には、北米市場向けにも同様のマイナーチェンジが行われました。

2019年11月20日には、中国市場において二度目のマイナーチェンジが実施されました。この時の改良では、パワートレインのラインナップが見直され、2.0L SIDIターボチャージャーエンジンに9速ATを組み合わせる「28T」グレードと、1.5L SIDI直噴ターボチャージャーエンジンに7速DCT（デュアルクラッチトランスミッション）を組み合わせる「20T」グレードが設定されました。エクステリアにおいても、LEDヘッドライトの改良など、ビュイックブランドの最新デザイン言語がより強く反映される形となりました。

2代目モデル (2020年 -)

初代モデルの登場から約6年が経過した2020年5月29日、GMは新型となる第2世代のエンビジョンを、2021年初頭に米国市場へ投入することを発表しました。

中国市場においては、新型となる2代目モデルの投入後も初代モデルが継続して販売されており、両モデルを区別するために第2世代モデルは「エンビジョンS」（昂科威S）というサブネームが付与されています。これにより、中国では初代「昂科威」と2代目「昂科威S」が併売される体制となっています。

ビュイック エンビジョンは、主に中国と北米という二大市場をターゲットに展開され、各市場のニーズに合わせて進化を続けているグローバルSUVモデルと言えるでしょう。

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