ビュイック・テラーザ

ビュイック・テラーザ

ビュイック・テラーザ（TERRAZA）は、米国の大手自動車メーカー、ゼネラルモーターズ（GM）によって製造され、そのプレミアムブランドであるビュイックから2004年から2007年にかけて販売されたミニバンモデルです。

開発背景と位置づけ

2004年にGMのブランド戦略の一環として、長年の歴史を持つオールズモビルブランドが廃止されたことに伴い、オールズモビルが展開していた高級ミニバン「シルエット」の後継車種としての役割を担って開発されました。

テラーザは、GMの共通プラットフォームを基に開発された車種群の一つであり、シボレー・アップランダー、ポンティアック・モンタナSV6、サターン・リレイといった姉妹車が、それぞれのブランドからも同時に展開されました。これらの姉妹車を含む全てのモデルは、米国ジョージア州にあるGMのドラビル工場で一括して生産されていました。

ビュイックブランドとしては、当時既に中国市場で高い人気を博していたGL8に続く2番目のミニバン製品でしたが、本国である北米市場においては、このテラーザがブランド初のミニバンとして投入された記念すべきモデルとなりました。

パワートレインと駆動方式

デビュー当初、テラーザにはV型6気筒3.5リッターのLX9型エンジンのみが搭載されていました。このエンジンには、当時としては一般的な4速オートマチックトランスミッションが組み合わされていました。

その後の年次改良により、パワートレインの選択肢が拡大されます。2006年モデルからは、より排気量の大きいV型6気筒3.9リッターのLZ9型エンジンがオプションとして設定に加わりました。この3.9リッターエンジンは、2007年モデルでは標準装備となり、さらにガソリンに加えてバイオエタノール燃料にも対応するフレックス燃料仕様もラインアップに追加され、環境性能への配慮もなされました。

駆動方式に関しては、発売当初の3.5リッターエンジン搭載モデルには、前輪駆動（FWD）に加え、四輪駆動（AWD）モデルも用意されていました。しかし、パワートレインの変更に伴い、2007年モデルからは3.5リッターエンジン自体が廃止され、それに伴い四輪駆動モデルも設定から外されています。

販売終了と後継モデル

ビュイック・テラーザの生産および販売は、比較的短期間に終わりを迎え、2007年秋をもって終了しました。テラーザが担っていたビュイックブランドのフラッグシップモデルとしての役割は、同年遅くに発売されたクロスオーバーSUV、ビュイック・エンクレイブに事実上引き継がれることになります。

ただし、中国市場においては、テラーザのボディシェルをベースとしたモデルが現在もビュイックGL8として販売されており、テラーザのフロントグリルデザインなどを変更したモデルとして、引き続き生産・販売されています。これは、中国市場におけるミニバンおよびGL8の高い人気を反映した状況と言えます。

テラーザは、北米におけるビュイックブランドのミニバン参入という歴史的な役割を果たしたモデルとして記憶されています。

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