ビルヒリオ・バルコ・バルガス

ビルヒリオ・バルコ・バルガス：コロンビアの政治家、技術者、そして大統領

ビルヒリオ・バルコ・バルガス（1921年9月17日 - 1997年5月20日）は、コロンビアの政治家、技術者であり、第27代大統領を務めました。彼の生涯は、教育、政治、そして国家への貢献に満ちています。

生い立ちと教育

1921年、ビルヒリオ・バルコはノルテ・デ・サンタンデール県のククタで、ホルヘ・エンリケ・バルコ・マルドナドとジュリエッタ・バルガス・デュランの間に生まれました。彼はコロンビア国立大学とマサチューセッツ工科大学（MIT）で土木工学を学び、1943年に卒業しました。その後、政界に進出し下院議員に選出されます。しかし、自由党と保守党の内戦の影響で、1950年にアメリカ合衆国へ亡命することになりました。

亡命先のアメリカでは、MITで経済学の修士号を取得。ノーベル賞受賞者であるロバート・ソローとポール・サミュエルソンの下で学びました。1954年にはボストン大学で経済学の博士号を取得し、学問的なバックグラウンドを確立しました。

政治キャリア

1954年にコロンビアへ帰国したバルコは、自由党と保守党の内戦を終わらせるための政治協定である国民戦線（FN）の創設に尽力しました。彼は1958年に上院議員に選出され、政界での地位を確立します。1961年には駐英大使に任命され、その職務を果たすために上院議員を辞任。1962年にコロンビアへ帰国後、1974年まで世界銀行の理事を務め、国際的な舞台でも活躍しました。1977年から1980年まで駐米大使を務めました。

大統領職：麻薬との戦いと経済改革

1986年、バルコは大統領選挙で58％の得票率を獲得し、コロンビアの大統領に就任しました。大統領として、彼は反貧困プログラムを推進し、コロンビア革命軍（FARC）などの左翼ゲリラとの対話を目指しました。しかし、メデジン・カルテルなどの麻薬カルテルに対しては断固たる姿勢を取り、麻薬戦争を繰り広げました。1989年8月18日、大統領候補であったルイス・カルロス・ガラン・サルミエントが暗殺されたことをきっかけに、メデジン・カルテルに対して宣戦布告を行いました。

国際社会からは支持を得ましたが、彼の反麻薬キャンペーンは国内の暴力を増加させ、国内での支持は伸び悩みました。当初、保護貿易的な経済政策を採用したため、国の経済は疲弊しましたが、2年後には新自由主義的な経済政策へと転換し、経済開放プログラムを開始しました。この政策転換により、コロンビアの市場は世界に開放され、経済の再活性化につながりました。1990年まで大統領を務め、任期満了に伴い退任しました。在任中の1989年には日本を訪問しています。

退任後

1990年に大統領を辞任した後、バルコは1992年まで再び駐英大使を務めました。その後、アルツハイマー病と診断され、1997年5月20日にボゴタで75歳で亡くなりました。彼の遺体はボゴタ中央墓地に埋葬されました。

ビルヒリオ・バルコ・バルガスは、コロンビアの政治、経済、そして社会に大きな影響を与えた人物として、歴史に名を刻んでいます。

参考文献

外部リンク
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