メデジン・カルテル

メデジン・カルテル: 概要

メデジン・カルテル（スペイン語: Cártel de Medellín）は、コロンビアの犯罪組織であり、特に1970年代から1980年代にかけて麻薬密売の中心的な役割を果たしました。この組織は、パブロ・エスコバルによって設立され、コロンビアの都市メデジンを拠点にしていました。カルテルは、コカインを主な資金源として多額の利益を上げ、当時アメリカ市場への輸出の80%を占めていました。

創立と拡充

もともとコロンビアの犯罪組織は、貴金属や麻薬、窃盗などの違法行為が主な収入源でした。しかし、アメリカでのマリファナやコカインの人気が高まる中、エスコバルはこれに目を付けました。彼は、首都ボゴタを手中にしていたゴンサロ・ロドリゲス・ガチャや密輸ルートを掌握していたカルロス・レデル、メデジンの伝統的なマフィアであるオチョア家と連携し、メデジン・カルテルを結成しました。

彼らはペルーやボリビアから高品質のコカインを仕入れ、アメリカのキューバ系組織へと供給していきました。メデジン・カルテルは急速に成長し、その収益は月に最多6000万ドルに達するとされています。エスコバル自身もこの時期に大富豪として名を馳せ、贅沢な生活を送ることができました。

武力活動と対立

メデジン・カルテルは、単なる麻薬密輸組織ではなく、武闘派勢力としても恐れられていました。1981年にオチョア家の家族がゲリラ組織に誘拐されたことをきっかけに、エスコバルは「誘拐者に死を」という武装集団を結成しました。この集団は、政治家や治安当局も標的にするようになり、さらには傭兵を雇い入れ、警察や軍と激しい衝突を繰り返しました。この結果、メデジン周辺では無政府状態が続きました。

カルテルはまた、1984年にアメリカへの犯罪人引渡し条約に抗議して法務大臣を暗殺し、1985年には最高裁判所を占拠する事件にも関与しました。また、1989年には大統領候補者の暗殺や、アビアンカ航空機の爆破事件など、数々のテロ行為を引き起こしました。これにより、カルテルの名は国際的に悪名高くなりました。

瓶詰めと崩壊

1990年代初頭、コロンビア政府はカルテルに対する大規模な取り締まりを開始しました。エスコバルは1991年に出頭し、豪華な刑務所に収監されることになりますが、その裏で彼の組織は次第に衰退しつつありました。彼は1992年に脱獄し、再び逃亡生活を送りましたが、その後、治安部隊によって射殺されました。

その後の影響

エスコバルの死後、メデジン・カルテルは公式には消滅しましたが、生き残った元構成員は依然として麻薬密売の世界で活動を続けています。組織全体の影響力は減少しましたが、中南米の貧困や治安の問題が解決されない限り、彼らの壊滅は難しいと考えられています。2002年以降、コロンビア政府によって元構成員の更生が進められていますが、完全な終息にはほど遠い状況です。

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