ビル・リーフリン

ビル・リーフリン：多才な音楽家、その軌跡

ビル・リーフリン（Bill Rieflin、1960年9月30日 - 2020年3月24日）は、アメリカ合衆国出身のミュージシャンであり、マルチ奏者として幅広いジャンルで活躍しました。特に1990年代には、インダストリアル・ロックおよびインダストリアル・メタルシーンでドラマーとして名を馳せ、数多くの著名なグループでその才能を発揮しました。

初期のキャリアとインダストリアル・ロックシーンでの活躍

シアトルで音楽キャリアをスタートさせたリーフリンは、1975年にThe Telepathsに在籍し、その後The Blackoutsでドラムを担当。このバンドでの活動を通じて、後のミニストリーのメンバーとなるポール・バーカーらと出会いました。リヴォルティング・コックスでの活動を経て、ミニストリーのアルバム『ザ・ランド・オブ・レイプ・アンド・ハニー』の制作に参加。ライブ・ビデオ『イン・ケース・ユー・ディドゥント・フィール・ライク・ショーイング・アップ (ライヴ)』でのパフォーマンスは、彼の卓越したドラムテクニックを強く印象付けました。

また、ピッグフェイスの結成にも参加し、クリス・コネリーと共にFirst World Musicレーベルを設立するなど、インダストリアル・シーンにおける重要な役割を果たしました。クリス・コネリーとのコラボレーションでは、アルバム『The Ultimate Seaside Companion』（The Bells名義）や『Largo』で、キーボード奏者としての才能も披露しています。

マルチプレイヤーとしての才能開花

1990年代後半からは、マルチプレイヤーとしての活動を本格化させ、R.E.M.、キング・クリムゾンなど、様々な著名ミュージシャンとの交流を深めました。ロバート・フリップとの共作や、KMFDMへの参加など、その活動は多岐にわたります。R.E.M.では、1997年以降、正式メンバーではないものの、準メンバーとしてブズーキ、キーボード、ギターなど多様な楽器で貢献し、バンドの解散までサポートメンバーとして活躍しました。

スロウ・ミュージック (Slow Music)という実験的なアンサンブルでは、ドラムではなくシンセサイザーを演奏し、即興演奏を中心とした活動を展開。また、THE HUMANSという音楽プロジェクトにも参加し、クリス・ウォン、ロバート・フリップ、トーヤ・ウィルコックスらとアルバム制作やライブ活動を行いました。

スワンズには1995年以降レギュラーメンバーとして参加し、2010年の再結成以降の全てのスタジオアルバムで様々な楽器を演奏しました。

キング・クリムゾンへの加入と晩年

2013年、キング・クリムゾンの3人体制ドラマーの一人として加入。バンドの新たな方向性を示す重要な役割を担いました。一時的にバンドを離れることもありましたが、2017年には復帰し、キーボード奏者としての才能も発揮しました。しかし、2019年には再び長期休養に入り、同年8月には妻であるフランチェスカ・サンドステンを亡くすという悲劇に見舞われました。

2020年3月24日、癌のため59歳で死去。彼の音楽への情熱と多岐にわたる活動は、多くのミュージシャンや音楽ファンに影響を与え続けました。

ディスコグラフィー（一部）

ソロ・アルバム
Birth of a Giant (1999年)
The Repercussions of Angelic Behavior (1999年) ※Bill Rieflin、Robert Fripp、Trey Gunn名義
Largo (2000年) ※Bill Rieflin & Chris Connelly名義
ミニストリー
『ザ・ランド・オブ・レイプ・アンド・ハニー』 - The Land of Rape and Honey (1988年)
R.E.M.
『アラウンド・ザ・サン』 - Around the Sun (2004年)
キング・クリムゾン
『ライヴ・アット・オルフェウム』 - Live at the Orpheum (2015年)

ビル・リーフリンは、その卓越した音楽性と多才さで、様々なジャンルを横断し、常に新しい音楽の可能性を追求し続けた、唯一無二の音楽家でした。

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