ピアッツァ・グランデ (モデナ)

ピアッツァ・グランデ：モデナの中心を彩る歴史広場

ピアッツァ・グランデ、またはグランデ広場は、イタリアのモデナ歴史地区に位置する、重要な広場です。12世紀にモデナ大聖堂の前に造られ、中世の広場としては比較的大規模であったため、この名が付けられました。1997年には、モデナ大聖堂とその隣接するギルランディーナの鐘楼と共に、ユネスコの世界遺産に登録されています。

広場の概要

広場は市庁舎に囲まれており、その歴史的な建造物が広場を特徴づけています。1194年に建てられた最初の市庁舎は多くの塔を備えていましたが、1501年の地震で倒壊しました。現在の市庁舎は再建されたものです。広場の西側には、かつて大司教館であった古文書館の背面ファサードがあります。南側には近代的な銀行の建物がありますが、これは1960年代に建てられたもので、以前は裁判所がありました。この新しい建物の設計者であるジオ・ポンティは、広場の他の古い建物との調和を意識したデザインを取り入れています。

広場の北東、市庁舎の近くには、古代ローマ時代の遺跡である大理石の「プレーダ・リンガドーラ」があります。この石は中世時代には演説台や、有罪宣告を行う場所として使われていました。

市庁舎の壁龕には、「ボニッシマ」と呼ばれる12世紀に作られた小さな像が安置されています。この像は、貧しい人々への寛大さで知られたボナという貴婦人、または大聖堂の建設を推進したマティルダ・ディ・カノッサがモデルであると考えられています。モデナでは人気の高い像であり、何にでも首を突っ込みたがる人を「ボニッシマのようだ」と表現することがあります。この像は広場全体を見渡し、そこで繰り広げられる会話を全て聞いているかのように感じられます。

広場は様々な祭りの舞台としても利用され、カーニバルの出発点と終点となっています。また、イタリアの音楽家、ルーチョ・ダッラは、この広場をモデルにした「ピアッツァ・グランデ」という歌を作曲しました。

世界遺産としての価値

ピアッツァ・グランデと市庁舎は、モデナ市の所有物です。モデナ大聖堂、ギルランディーナ、そしてこの広場は、中世イタリアの自由都市の発展を示すだけでなく、中世キリスト教都市における信仰と市民生活の結びつきを示す優れた例として、世界遺産に登録されています。

登録基準

この世界遺産は、以下の世界遺産登録基準に基づいて登録されました。

(1) 人類の創造的才能を表現する傑作であること。
(2) ある期間や文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すものであること。
(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統や文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠であること。
(4) 人類の歴史における重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積、または景観の優れた例であること。

登録名と日本語訳

この物件の公式登録名は、英語で「Cathedral, Torre Civica and Piazza Grande, Modena」、フランス語で「Cathédrale, Torre Civica et Piazza Grande, Modène」です。日本語訳は文献によって異なりますが、主に以下のような訳が用いられています。

モデナの大聖堂、トッレ・チヴィカ及びグランデ広場
モデナの大聖堂、市民の塔とグランデ広場
* モデナの大聖堂、鐘楼、グランデ広場

ピアッツァ・グランデは、モデナの歴史と文化を象徴する場所として、今日も多くの人々に愛されています。その美しい景観と歴史的な背景は、訪れる人々を中世のイタリアへと誘います。

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