ピア門

ピア門（Porta Pia）

ピア門は、イタリアのローマに位置するアウレリアヌス城壁の一部として建設された城門で、1561年に着工されました。この門は、ローマ教皇ピウス4世の命により、都市環境の向上を図るために建設されました。そのため、門は教皇の名前にちなんで「ピア門」と名付けられています。

概要

この門は、以前存在していたノメンターナ門の代わりとなるもので、やや北側に位置しています。設計を手掛けたのは著名な建築家ミケランジェロ・ブオナローティであり、彼は1564年にこの世を去る寸前までそのプロジェクトに関わっていました。完成は1565年で、設計図は数種類あったとされていますが、当初のプランからは大きく変更が加えられたことが明らかです。その後の世代による改修や変更も行われたため、かつての姿を直接的に見ることは難しいと言えます。

ピア門の外側には、新古典主義スタイルによるファサードが施されており、これは1869年に完成しました。1851年には雷により破損が発生し、修復作業が始まりました。この修復には新しい建物と中庭も含まれ、現在の姿に至ります。

歴史の背景

もともとノメンターナ門は古代の街道の起点として重要な役割を果たしていましたが、都市の発展に伴いその役目を失いました。ミケランジェロは、教皇ピウス4世に対して異なる三つの設計案を提示したとされますが、その中から最も建設費の低いものが選ばれました。しかし、詳細な設計がどのように行われたかは不明です。1561年には、このピア門の設計図が記載された記念硬貨が鋳造されましたが、それは現在の姿とはかけ離れたものでした。

専門家たちは、ミケランジェロがピア門を単なる機能的な門ではなく、美的要素を持つ印象的な作品にしようとしたと評価しています。現在の「9月20日通り」の終点に位置し、堂々たる姿が目を引くピア門をくぐると、さらにまっすぐにノメンターナ通りが続いています。この視覚効果を高めるために、門は壁から少し斜めに突き出る形状になっています。

第2のアーチの創設

1575年頃、ノメンターナ門が完全に閉鎖された結果、増加する交通量に対処するために第2のアーチが追加されました。中央のアーチの上部には、当時の記録に基づく碑文があります。また、外側のファサードの上にも塔があったとも言われますが、その塔がいつ失われたのか、あるいは意図的に削除されたのかは不明です。

現在の姿

ヴィルジニオ・ヴェスピニャーリによる新古典主義の設計を基にしたピア門は、1869年に完成し、現存する形が形成されました。ピア門付近には聖アグネス女子修道院もあり、教皇はその女子修道院で起こった事故を記念する意図を形にするため、この場所に碑文を刻むことを選びました。

特殊な歴史的出来事

ピア門の約十数メートル西側には、砲弾によって作られた城壁の裂け目があり、「ポルタ・ピアの裂け目」と呼ばれています。1870年のイタリア統一の際、ここからベルサリエーリ部隊が侵入しました。裂け目の記念碑は、当時の歴史を物語っています。また、ピア門の前の広場には、ムッソリーニの命によって建てられたベルサリエーリの記念碑も存在します。これらの歴史的背景から、ピア門はローマの文化的かつ歴史的な重要性を持つ場所となっています。

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