ピエール・ド・ロンサール

ピエール・ド・ロンサール：ルネサンス期の詩聖

ピエール・ド・ロンサール（1524年9月11日 - 1585年12月27日）は、ルネサンス期のフランスを代表する詩人であり、プレイヤード派の中心人物として、「プランス・デ・ポエット（詩王）」の称号を授けられました。彼の詩は、古典文学の知識と豊かな感情が融合したもので、当時のフランス文学に新たな息吹をもたらしました。

生涯

ロンサールは、ロワール＝エ＝シェール県の貴族の家で生まれました。幼少期は家庭で教育を受け、12歳でパリのコレージュ・ド・ナヴァルに入学。その後、王太子の小姓として、またオルレアン公に仕え、スコットランドなど各地を旅する機会を得ました。これらの経験は、彼の詩作に大きな影響を与えました。

転機となったのは、難聴を患ったことです。外交官としての道を断念せざるを得なくなったロンサールは、学問に専念することを決意し、コレージュ・ド・コクレで古典を学びました。そこで、ジャン＝アントワーヌ・ド・バイフやジョアシャン・デュ・ベレーといった、後にプレイヤード派を形成する仲間たちと出会います。

プレイヤード派の中心人物として

ロンサールは、デュ・ベレーらとともに、フランス語による文学の革新を目指しました。彼らは、古典文学を範としつつ、フランス語の可能性を追求し、新しい詩の形式や表現を創り出しました。その最初の宣言ともいえるのが、デュ・ベレーが著した「フランス語の擁護と顕揚」（1549年）です。

ロンサールは、1550年に『オード』四部集を、1552年には『恋愛詩集』などを発表し、詩人としての地位を確立しました。これらの作品は、当時の文学界に大きな論争を巻き起こしましたが、その独創性と美しさによって、多くの人々を魅了しました。

彼の才能はシャルル9世にも認められましたが、王の求めに応じて執筆した『フランシアード』は、必ずしも成功作とは言えませんでした。

晩年は病に苦しみましたが、創作意欲は衰えず、数々の傑作を生み出しました。1585年12月27日、ロンサールはトゥールのサン＝コーム教会に埋葬されました。

作品とその影響

ロンサールの作品は、恋愛、自然、人生の喜びや悲しみなど、幅広いテーマを扱っています。彼の詩は、美しい言葉と豊かなイメージに彩られており、読者の心を深く揺さぶります。

代表作としては、以下のようなものがあります。

『オード』（1550-1552年）
『恋愛詩集』（1552年）
『賛歌』（1555-1556年）
『フランシアード』（1572年）

ロンサールの詩は、後世の詩人たちに大きな影響を与えました。彼の詩は、フランス文学の重要な一部として、今もなお多くの人々に愛されています。

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