プレイヤード派

プレイヤード派とは

プレイヤード派は、16世紀フランスにおいて、ルネサンスの潮流の中で古代ギリシア・ローマの文芸を規範とした創作活動を推進した詩人グループです。彼らは、当時俗語とされていたフランス語による文学に、古典文学の格調高さと優美さを取り入れることを目指しました。日本では、プレイヤッド派や七星詩派とも呼ばれています。

名称の由来

フランス語の「プレイヤード（Pléiade(s)）」は、元々ギリシア神話に登場するアトラスの7人の娘たちを指します。そこから転じて、古代ギリシアのアレクサンドリアにいた7人の詩聖を「プレイヤード」と呼ぶようになりました。中世トゥールーズにもプレイヤードが存在しましたが、一般的に日本で「プレイヤード派」という場合、ルネサンス期のグループを指します。

また、プレアデス星団（les Pléiades、昴）も、アトラスの七人娘に由来する名称です。七星詩派という訳称は、この星団にちなんだものです。

プレイヤード派の成立

プレイヤード派は、1553年に活動を開始しましたが、実質的な出発点と見なされるのは、1549年に刊行されたジョアシャン・デュ・ベレーによる宣言書『フランス語の擁護と顕揚』です。この中で、デュ・ベレーは、ラテン語が公用語であった当時、フランス語文学に古典文芸の格調と美を取り入れることを主張しました。

当初、この若い詩人たちの集団は「ブリガード（Brigade、旅団の意）」と呼ばれていましたが、1556年に、古代ギリシアのアレクサンドリアの七詩聖にちなんで「プレイヤード」と改称しました。

17世紀の激動の時代に文化愛好家として知られたマルグリット・ド・ヴァロワは、プレイヤード派を通じてウェルギリウスなどの古典作品に触れたとされています。

プレイヤード派のメンバー

プレイヤード派のメンバーは、時代によって変動があり、誰を七人とするかについては議論があります。ピエール・ド・ロンサールは何度か七人のリストを発表しましたが、死去した詩人の代わりに別の詩人が加わるなど、時期によってメンバーが異なっていました。しかし、ジョアシャン・デュ・ベレーのように、死去後もリストに残り続けたメンバーもいました。

以下に、標準的なプレイヤード派のメンバーを挙げます。太字は、固定的なメンバーと見なされています。

ピエール・ド・ロンサール
ジョアシャン・デュ・ベレー
ジャン＝アントワーヌ・ド・バイフ
ポンチュス・ド・チヤール
ジャン・バスチエ・ド・ラ・ペリューズ（1554年死去）
レミ・ベロー（ラ・ペリューズの後任）
エチエンヌ・ジョデル
ギヨーム・デ・ゾーテル（ジョデルの後任）
ジャック・ペルチエ・デュ・マン
ジャン・ドラ（ペルチエ・デュ・マンの後任。ロンサールやバイフらの師）


プレイヤード派は、フランス文学に大きな影響を与え、その後の文学発展に重要な役割を果たしました。彼らの活動は、フランス語の可能性を広げ、ルネサンス文学の隆盛を支える原動力となったのです。

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