ピエール・ユベール・ラルシュヴェック

ピエール・ユベール・ラルシュヴェック：フランスからスウェーデンへ、宮廷彫刻家の軌跡

ピエール・ユベール・ラルシュヴェック（Pierre Hubert L'Archevêque、1721年5月1日 - 1778年9月25日）は、18世紀に活躍したフランスの彫刻家です。彼はフランスで彫刻家としての基礎を築いた後、スウェーデンへと渡り、宮廷彫刻家として重要な役割を果たしました。さらに、スウェーデン王立美術院の会長も務め、スウェーデン美術界に大きな影響を与えました。

生涯

ラルシュヴェックは、1721年にフランス南部のニームで生まれました。彫刻家としての道を歩み始めた彼は、まず著名な彫刻家エドメ・ブーシャルドン（Edmé Bouchardon: 1698–1762）に師事し、その指導のもとで技術を磨きました。1744年からはローマに留学し、5年間滞在しました。ローマでは、古代彫刻やルネサンス美術に触れ、芸術家としての感性をさらに深めました。1750年頃にパリに戻り、作品を制作していましたが、1753年に転機が訪れます。エドメ・ブーシャルドンの弟で、ストックホルムでスウェーデン宮廷彫刻家として働いていたジャック＝フィリップ・ブーシャルドン（Jacques-Philippe Bouchardon: 1711-1753）が亡くなったのです。その後任として、ラルシュヴェックはエドメ・ブーシャルドンによって推薦され、スウェーデンへと渡ることになりました。

1755年、ラルシュヴェックはストックホルムに到着し、宮廷彫刻家としての活動を開始しました。スウェーデンでは、ストックホルムのグスタフ2世アドルフの騎馬像や、ストックホルムの「貴族の家（Riddarhuspalatset）」前のグスタフ1世のモニュメントなど、重要な作品を数多く制作しました。これらの作品は、彼の卓越した技術と芸術的センスを示すものとして、現在も高く評価されています。また、1768年から1777年までの間は、スウェーデン王立美術院の会長も務め、スウェーデンの美術教育と振興に貢献しました。

1777年、ラルシュヴェックはフランスに帰国し、翌年、故郷に近いモンペリエで生涯を閉じました。彼のスウェーデンでの弟子には、ユーハン・トービアス・セルゲル（1740-1814）がいます。セルゲルは、ラルシュヴェックが制作したグスタフ2世アドルフの騎馬像の付帯彫刻を完成させ、ラルシュヴェックの後任としてスウェーデン王立美術院の彫刻の教授となりました。

主な作品

グスタフ2世アドルフの騎馬像（ストックホルム）
グスタフ1世のモニュメント（ストックホルム、「貴族の家」前）

参考文献

Göransson, Tora: Pierre Hubert L'Archevêque i Svenskt biografiskt lexikon (1977-1979)
Svenskt biografiskt handlexikon. 1906

ピエール・ユベール・ラルシュヴェックは、フランスとスウェーデンの美術界を結びつけた重要な人物であり、彼の作品は今もなお、多くの人々に感動を与え続けています。

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