ピシディア

ピシディアは、現在のトルコ南部、アンタルヤ県を中心とした地域を指す古代の地名です。小アジアの南部に位置し、その地理的な特性から、周辺地域との交流はありつつも、独自の文化を育んできました。リュキアの北に位置し、カリア、リディア、パンフィリア、フリギアといった古代の国々と国境を接していました。

地理的特徴

ピシディアは、険しい山岳地帯と湖沼地帯が広がる地域であり、その地形が外部からの侵入を困難にしていました。このため、ピシディアは他の地域に比べて、比較的独立性を保ちやすい環境にありました。主要な都市は、山間の盆地や湖のほとりに点在し、それぞれが独自の文化圏を形成していました。

歴史

ピシディアの歴史は古く、紀元前2千年紀にはすでに人々が定住していました。ヒッタイト帝国の崩壊後、ピシディアはいくつかの独立した都市国家に分かれ、それぞれが独自の歴史を刻みました。その後、ペルシア帝国の支配下に入り、アレクサンドロス大王の東征によってヘレニズム文化の影響を受けました。ローマ帝国時代には、ガラティア属州の一部となり、キリスト教が普及しました。しかし、その険しい地形から、ローマの支配も完全なものではなく、独自の文化が維持されました。

文化

ピシディアの文化は、周辺地域の文化の影響を受けつつも、独自の発展を遂げました。ピシディア語という独自の言語を持ち、これはインド・ヨーロッパ語族に属していました。また、石造りの建築技術に優れ、多くの遺跡が残っています。これらの遺跡からは、ピシディアの人々の生活や文化を知ることができます。主要な都市としては、テルメッソス、サガラッソス、ペルゲなどがあり、それぞれが独自の歴史と文化を持っています。

遺跡

ピシディアには、古代都市の遺跡が数多く残されており、その歴史を物語っています。テルメッソスは、断崖絶壁に築かれた都市で、その自然の要害を利用した防御力の高さが特徴です。サガラッソスは、標高1450メートルの高地に位置し、壮大なローマ時代の建築物群が残っています。ペルゲは、古代パンフィリアの重要な都市であり、ピシディアとの境界に位置していました。

現代

現代のトルコにおいて、ピシディアの地域は、アンタルヤ県の一部として、農業や観光業が盛んな地域となっています。古代の遺跡は、観光資源として活用されており、多くの観光客が訪れます。ピシディアの歴史と文化は、現代のトルコにも深く根付いており、その遺産は大切に保存されています。

関連項目

* ピシディア語

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