ピストル大名の冒険

ピストル大名の冒険

『ピストル大名の冒険』は、1990年にゲームセンターに登場したナムコ（現：バンダイナムコエンターテインメント）開発・発売の横スクロールシューティングゲームです。同社のシステム基板「SYSTEM I」を採用した作品群の第19弾にあたります。

本作は、1988年に稼働を開始したコミカルアクションゲーム『超絶倫人ベラボーマン』に登場する個性的なボスキャラクター、「ピストル大名」を主人公に据えたスピンオフ作品として企画されました。ゲームでは、ピストル大名は「かやくご藩」の若き城主「火縄丸」として描かれ、藩の慣わしである修行の旅に出るというストーリーが展開します。

アーケード版稼働後、このユニークな世界観は様々な形で展開されました。2007年にはYahoo!ケータイ向け、2008年にはEZアプリ向けに携帯電話アプリゲームとして配信され、より手軽に遊べるようになりました。また、1997年には三共（SANKYO）からパチンコ機『CRフィーバーピストル大名』が登場。このパチンコ版は、翌1998年にテン研究所開発の『SANKYO FEVER 実機シミュレーションS vol.2』の一部として、家庭用ゲーム機であるセガサターンにも移植されています。

さらに時を経て、往年の名作アーケードゲームを現代に蘇らせる「アーケードアーカイブス」シリーズの一作品として、2022年にはPlayStation 4|PlayStation_4版とNintendo Switch版が配信され、再び多くのゲームファンが本作を楽しめるようになっています。

ゲームシステム

ゲームの主人公である火縄丸（ピストル大名）は、『ベラボーマン』で悪役だったイメージとは異なり、正義を胸に秘めた若き城主として描かれます。かやくご藩では、藩主となる者は12歳の元服に際し、定められた三つの厳しい修行を乗り越えなければなりません。火縄丸もその伝統に従い、修行の旅へと出発します。

プレイヤーは、ゲーム開始時に提示される五つの修行（それぞれ「○○の巻」という名称）の中から、三つを選んでクリアすることを目指します。三つの修行を終えると、悪の農民組織「ゴンスケ団」の本拠地へと向かう最終ステージ「ゴンスケ団の巻」に挑むことになります。

修行ステージの種類は以下の通りです：

「旅立ちの巻」：チュートリアル的な役割を兼ねたステージです。他のステージを先に選んでクリアすると、ボーナススコアが得られます。
「悪ガッパの巻」
「しゅりけん団の巻」
「あやかしの巻」
「おどろ教の巻」
「黒船来たるの巻」：これらのステージは、概ねリストの順に難易度が上がっていきます。

各ステージは、「その壱」から「その四」までの四つのエリアで構成されています。

火縄丸の武器は、元服の証として頭に装着された大きなピストル、あるいは大砲です。ショットボタンを押し続けることでパワーを溜めることができ、離した時間に応じて威力やサイズが異なる「気合玉」（花火弾）を発射できます。通常のショットは直線的に飛びますが、気合玉は放物線を描き、地面に着弾するとバウンドするという独特の軌道を持っています。

火縄丸の移動方法も特徴的です。両足に挟んだ扇子を羽ばたかせることで空を飛びますが、レバー入力を行わないと徐々に高度を失い、下降していきます。ただし、地面に触れてもミスにはなりません。

ゲームの道中には、青と黄色の奇妙な「つぼ」が配置されており、これを破壊するとアイテムが出現します。青いつぼからは「花札」が、黄色のつぼからは「連射力アップ」のアイテムが出ます。

花札にはいくつかの種類があり、集めた札は画面右上に表示されます。同じ花札を三枚揃えると、アイテム入りの「くすだま」が出現します。花札の種類によって出現するくすだまが異なります。

カス札（いわゆる点数の低い札）を揃えると「ナス玉」が出現し、スピードアップ、木のヨロイ（一度だけ被弾を防ぐ）、または「はずれ」のいずれかが出ます（ナス玉からはずれが多い傾向があります）。
青色の短冊札（青たん）を揃えると「タカ玉」が出現し、ナス玉と同様にスピードアップ、木のヨロイ、はずれのいずれかが出ます。
* 20点フダや光札といった点数の高い札を揃えると「富士玉」が出現し、被弾を二度まで無効化できる「鉄のヨロイ」が手に入ります。

ステージの道中は画面が自動的にスクロールする強制スクロール方式ですが、ステージボスとの戦闘ではスクロールが停止します。ボス戦中は画面には表示されない制限時間が存在し、時間内にボスを倒せないと巨大な裸足に踏み潰され、強制的に一ミスとなります。

プレイヤーは通常、三つの残機を持ってスタートします。敵や敵の攻撃に触れると残機を一つ失います。すべての残機を失うか、最終ステージである「ゴンスケ団の巻」をクリアしてエンディングを迎えるとゲーム終了です。ゲームは一周でエンディングとなる構成です。

ミスによってゲームオーバーになっても、コンティニューに回数制限はありません。ただし、最終ステージの「ゴンスケ団の巻」に限り、コンティニューができません。

ゲームクリア時のエンディングは、最終的な獲得スコアによって二種類に分岐します。

音楽とスタッフ

本作のエンディングには歌詞付きの楽曲が流れます。この曲は、後にサウンドトラックCDに収録される際に「火縄丸数え唄」としてアレンジされ、新たな歌詞が付けられました。この「火縄丸数え唄」は、1991年5月1日にビクター音楽産業から発売されたアルバム『ビデオ・ゲーム・グラフィティVol.7』に収録されています。編曲は米光亮氏、歌唱は山本正之氏が担当しました。

ゲームの開発に携わったスタッフの名前は、独特の役職名と共にクレジットされています。例えば「おはなし」はたっきい氏、「からくり」はかず氏、「おはやし」は、おたか氏、細江慎治氏（めがてん）、桜井誠一氏（かちょう）、高柳佳恵氏（えっちゃん）、「えのおじさん」はてんこもりやん氏などが名を連ねています。

（注：上記のスタッフ名はゲーム内クレジットに準拠しています。）

もう一度検索