ピノ・グリ

ピノ・グリ：多様な表情を持つ白ワイン用ブドウ

ピノ・グリは、ピノ・ノワールのクローン突然変異によって生まれた白ワイン用ブドウ品種です。別名ピノ・グリージョ、グラウブルグンダーとも呼ばれ、世界各地で栽培されています。果皮の色は灰青色が一般的ですが、茶色やピンク、黒、白など多様な色合いを持つこともあります。その名前は、ブドウの房が小さな松かさのような形をしていることに由来すると言われています。

ワインの特徴

ピノ・グリから造られるワインは、その産地や醸造方法によって大きく異なる表情を見せます。

アルザス: スパイシーでフルボディ、豊かなアロマを持つワインが造られます。熟したトロピカルフルーツや貴腐のような香りが特徴で、長期熟成にも適しています。
イタリア: ライトボディで酸味が強く、爽やかな味わいのピノ・グリージョが造られます。ブドウは早摘みされ、果実味を抑えたすっきりとした風味が特徴です。
ニューワールド (マールボロ、タスマニア、ワシントン、オレゴンなど): アルザススタイルに倣い、中程度の酸味と高めのアルコール度数を持つ、オイリーでフルボディなワインが造られます。

歴史

ピノ・グリは中世からブルゴーニュ地方で知られており、フロマントーと呼ばれていたと考えられています。ピノ・ノワールと共にヨーロッパ各地に広まり、14世紀にはハンガリーにも伝わりました。ドイツでは、18世紀にヨハン・ゼーガー・ルーラントが発見したことでルーレンダーという名で知られるようになりました。

2000年代に入ると、辛口のピノ・グリージョやニューワールドワインの人気が高まり、ピノ・グリの需要も増加しました。

生産地域

ピノ・グリは世界各地で栽培されており、主な生産地域は以下の通りです。

ヨーロッパ: フランス (アルザス、ブルゴーニュ)、ドイツ (バーデン、ラインラント＝プファルツ)、イタリア (トレンティーノ＝アルト・アディジェ州、フリウリ＝ヴェネツィア・ジュリア州)、オーストリア、ハンガリーなど
* ニューワールド: オーストラリア (タスマニア、ヤラ・バレー)、ニュージーランド (マールボロ、セントラル・オタゴ)、アメリカ (オレゴン、カリフォルニア)、アルゼンチン、チリ、カナダなど

アルザスにおけるピノ・グリ

アルザスはピノ・グリの主要な産地の一つであり、同地域のブドウ畑面積の13.9%を占めています。冷涼な気候と火山性土壌がピノ・グリの栽培に適しており、アロマの強いワインが生まれます。ピノ・グリは、リースリング、ゲヴュルツトラミネール、ミュスカと共にアルザスの高貴品種とされ、アルザス・グラン・クリュや遅摘みワインに使用されます。

かつてアルザス産のピノ・グリはトケ・ダルザスと呼ばれていましたが、ハンガリーのトカイワインとの混同を避けるため、2007年にピノ・グリに名称変更されました。

まとめ

ピノ・グリは、その多様な風味と産地によって、様々な表情を見せる魅力的なブドウ品種です。辛口から甘口まで、幅広いスタイルで楽しめるピノ・グリを、ぜひ一度味わってみてください。

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