ピペリン

ピペリンについて

ピペリン（英: piperine）は、アルカロイドに分類される有機化合物であり、主にブラックペッパーで見られる辛味の成分です。シス-トランス異性体のカビシン（通称：Z,Z体、またはシャビシン）と共に、ピペリンはブラックペッパーが持つ特有の刺激的な風味の源となっています。これらの成分は、古くから肉料理やスパイスの調味料として使われる一方で、伝統医学や殺虫剤としての用途も広がっています。

ピペリンは1819年に、デンマークの科学者ハンス・クリスティアン・エルステッドによって、コショウの果実であるPiper nigrumから初めて発見されました。この化合物は、ヒハツ（Piper Lognum）、ヒハツモドキ（Piper officinarum）、さらに西アフリカ産のPiper guineenseなど、他の植物にも含まれています。

辛みのメカニズム

ピペリンやカプサイシンの刺激的な辛みは、温度受容体であるTRPV1という感覚神経の受容体を活性化させることによって引き起こされます。TRPV1は、通常の温度感覚だけでなく、痛みの感知にも関与しており、これらの成分がもたらす熱感や辛さが、食事の体験を作り出します。

薬理作用

ピペリンの生理学的な作用としては、ヒトの体内で特定の代謝経路を阻害する能力が挙げられます。例として、CYP3A4という酵素やP-グリコプロテインという輸送体の働きを抑制することが特筆されます。これにより、ピペリンは他の薬物との相互作用を引き起こす可能性があり、薬物代謝を妨げることが動物実験で示されています。具体的には、ピペリンが性質を持つことで、クルクミンの生物学的利用能が2000%向上したという報告があることが示しています。

健康上の注意
ただし、ピペリンを多量に摂取することによって健康被害が生じるリスクがあるため、過剰摂取には注意が必要です。他の薬剤との相互作用によって、有効成分の作用を強めたり弱めたりすることがあるため、医師の指導のもとでの使用が望まれます。

関連項目

• - ピペリジン: ピペリンの部分構造である六員環の環状アミンで、ピペリンの加水分解によって生成される。
• - カプサイシン: 唐辛子に含まれる辛味成分として知られ、ピペリンと同様の作用を持つ。

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