ピメントチーズ

ピメントチーズとは

ピメントチーズ（英: pimento cheese）は、アメリカ南部を代表する料理の一つであり、主にチーズ、マヨネーズ、辛くない唐辛子の一種であるピメントから作られるスプレッドまたはレリッシュです。この風味豊かなペーストは、パンやクラッカー、さらには新鮮な野菜に添えて食べられます。このチーズのスプレッドを用いたサンドイッチは、特にプロゴルフのマスターズ・トーナメントにおいて名物として知られています。

歴史

20世紀初頭、アメリカ北部でクリームチーズとスペイン産ピメントを組み合わせた新しいレシピが登場しました。このレシピは1910年頃には大量生産され、全国各地に普及しました。当初は高級食品とされていましたが、1915年に登場した安価なプロセスチーズと、同時期にアメリカ南部で生産され始めたピメントとの相乗効果により、一般家庭でも手軽に利用されるようになりました。特に第二次世界大戦後には、自家製のピメントチーズが南部の家庭料理として広まり、「南部のパテ」や「カロライナ・キャビア」と呼ばれるようになりました。

レシピと材料

基本的なピメントチーズのレシピは非常にシンプルで、シャープなチェダーチーズやプロセスチーズとマヨネーズを混ぜます。次に、刻んだピメントを加え、塩とコショウで味を調えます。このスプレッドは滑らかなものもあれば、食材の形を残したものもあり、家庭によってそのスタイルは様々です。一般的な材料にはクリームチーズやタマネギ、ニンニク、モントレージャックチーズなどが含まれ、場合によってはディル・ピクルスやウスターソース、マイルドなハラペーニョ、パプリカ、ホットソース、カイエンペッパーを加えることもあります。

食べ方

ピメントチーズはスプレッドとしてパンやクラッカーに塗るのが一般的な食べ方ですが、創意工夫を凝らして様々な料理に使用されることがあります。例えば、グリッツに混ぜたり、ベイクドポテトに載せることができます。また、ハンバーガーやホットドッグに塗ることや、トルティーヤ・チップスに載せる、セロリやトマトの詰め物にする、デビルドエッグの黄身に混ぜるといった楽しみ方もあります。最近では、マカロニ・アンド・チーズやチーズケーキ、さらには巻き寿司としても利用されることがあります。

ピメントチーズ・サンドイッチは、手軽でコストパフォーマンスに優れた昼食の選択肢ですが、前菜として提供されることもあります。耳を切り落として三角形にカットし、クレソンを添えたり、丸めてスライスしたものを爪楊枝で留めることも人気です。

文化的描写

この料理は、フィリピンでも「チーズ・ピメント」として広く親しまれています。また、特にプロゴルフのマスターズ・トーナメントでは、ピメントチーズ・サンドイッチが伝統的な名物料理として位置づけられています。1950年代に、オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブでニック・ランゴスが作成したレシピは、長年にわたりファンに愛されていますが、2013年以降のレシピ変更に伴い、その味が議論を呼ぶこともありました。

大衆文化

ピメントチーズは、テレビドラマ『ベター・コール・ソウル』の第1シーズン第9エピソードのタイトルにも取り上げられました。このエピソードでは、キャラクターのマイク・エルマントラウトがピメントチーズ・サンドイッチを持って現れるシーンが描かれ、彼がこの料理を「南部のキャビア」と称する場面は印象的です。同シリーズのスピンオフである『ブレイキング・バッド』でも本料理が登場しており、その文化的な影響力は大きいものとなっています。

日本での展開

日本では、雪印が昭和4年に瓶入りスプレッドとしてピメントチーズを発売しましたが、販売は1年で終了しました。その後もピメント入りプロセスチーズが市場に登場していますが、本格的な普及には至っていません。

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