ピュグマリオーン

ピュグマリオーン

ピュグマリオーン（古希: Πυγμαλίων, Pygmaliōn）は、ギリシア神話に登場するキプロス島の王です。彼は、現実の女性に失望していたため、自らの手で理想の女性像を彫刻しました。

その像は完璧で、見ているうちにピュグマリオーンは彼女が裸であることを恥ずかしいと感じるようになり、服を彫り入れるほどでした。やがて彼は彫刻に恋をし、食事を用意したり、話しかけたりするようになりました。彼は像が人間になることを切望し、その願いは日に日に強くなっていきました。

ピュグマリオーンが彫像から離れられず、次第に衰弱していく姿を見かねた女神アプロディーテーは、彼の願いを叶えることにしました。アプロディーテーは彫像に生命を吹き込み、ピュグマリオーンは遂に像を妻として迎えることができたのです。

影響

ピュグマリオーンの物語は、多くの芸術作品に影響を与えてきました。

ジャン・ジャック・ルソーは戯曲『ピグマリオン』を書き、これを原作とするオペラも制作されています（ルイジ・ケルビーニの『ピンマリオーネ』など）。像にガラテアという名前が与えられたのはルソーの作品が最初です。
フランツ・フォン・スッペのオペレッタ『美しきガラテア』もピグマリオンの物語を元にしています。
ヴィリエ・ド・リラダンの『未来のイヴ』も同様です。
ウィリアム・S・ギルバートは戯曲『ピグマリオンとガラテア』を制作しました。
ジョージ・バーナード・ショーの戯曲『ピグマリオン』は、映画『マイ・フェア・レディ』の元になった作品であり、この伝説に材をとっています。また、和田慎二のファンタジー漫画『ピグマリオ』でも、石になった精霊ガラティアというモチーフが用いられています。
映画『リタと大学教授』の原作である『リタの教育』は、ショーの『ピグマリオン』を下敷きにしています。

ピュグマリオーンの物語は、理想と現実、創造と愛、そして人間の願望という普遍的なテーマを扱っており、時代を超えて人々の心を捉え続けています。

脚注

ピュグマリオーンは、長母音を省略してピュグマリオン（または、ピグマリオン）とも表記されます。

関連項目

ピグマリオン効果：教育心理学における心理的行動の一つ。
* ピグマリオンコンプレックス：人が他者に抱く理想像と現実とのギャップに苦悩する心理状態。

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